【剣の王国】引用・モチーフ#コローディの章
「コローディの章」に出てくるモチーフのまとめです。
[2019.03.24] 雪の女王追加
【目次】
登場キャラクターの元ネタ
※登場順
【アルフレド】
【レイモンド】元ネタはなさそう
【モコ】
- 「鏡の国のアリス」の老いた羊(白の女王)
【チャポ】
- キキーモラ
- 「風の谷のナウシカ」のテト
【ケホケホ】
【サーシャ】元ネタはなさそう
【ジーニアス・マッカウ】
- ジーニアス=天才
【オズ・ワーロック】
【ケイ・ワン】
- ビーグル犬
【チェケ・ラリスト】
- ラッパー
【アンナ】
【バネッサ】
【ダッカー】
- 「人虎伝」の李徴
【ハイルトン】
【ダン(ダニエル・エルガー)】
【ゴリラ】
【グリス・テイマー】
- テイマー=〇〇使い、調教師、(猛獣使い、ライオンテイマーなど)
【リグワール・クラウン】
- クラウン(clown)=道化師
【スティルツ(小人の二人組)】
- スティルツは大道芸の一種。足に棒をはめてのっぽに見せる。竹馬。
【空中ブランコ乗りの子】
- 「不思議の国のアリス」のチェシャ猫
【チャールズ・ボンバイエ】
- チャールズ・チャップリン
- ボンバイエ=やっちまえ、奴を殺せの意味
【ピノキオ】
- ピノキオ
【フェリシテ】
- フェリシテ=幸福感、称賛
- 「ヘンゼルとグレーテル」のグレーテル
【オリバー・ハインツ】
- オリバー→オリバーソース(ウスターソースを販売している会社)
- ハインツ→ケチャップソースを販売している会社
【メージ・グリフォン】
【ジョン・レイン】
- 「フランダースの犬」のパトラッシュ
【ユリ・レイン】
- 「フランダースの犬」のパトラッシュ
【ドロテーア】
- ブルース・リー
- 「キル・ビル」のザ・ブライト
- 「フランダースの犬」のネロ
- 「オズの魔法使い」のドロシー
- 王道系プリンセスストーリー(シンデレラ、白雪姫、いばら姫/眠れる森の美女)
- 「美女と野獣」のラ・ベル
【ジェス】
【ハワード】
【オグ・ユーフラテス】
- クローン羊のドリー
- ユーフラテス川
【青竜(セロ)】
- 四神の青龍
【マーリン・フォルカス】
- アーサー王伝説に登場するマーリン
- 悪魔フルカス
【一角馬(ユニコーン)】
- 「雪の女王」のトナカイ
【喰獣族(ノール)】
- 「雪の女王」の山賊
作品別引用要素
鏡の国のアリス(1871年、ルイス・キャロル)
◆第5章「羊毛と水」(場合によっては第6章)
【参考】
- wikipedia:アリスショップ
- 鏡の国のアリス(Open Shelf)
【あらすじ】
- 白の女王が小川を渡り、白いショールをまとった途端、年老いた羊の姿に変わり、辺りもいつのまにか雑貨屋に変わる。
- 店主は四六時中編み物をしている。
【引用元キャラクター】
- 雑貨屋店主の羊/白の女王
【引用要素】
オズの魔法使い
◆オズ
【人物概要】
- オズ王国の統治者にして魔法使い。しかしその正体は詐欺師の老人。
- かつて主人公の故郷カンザスにほど近いオハマという地に生まれ、腹話術師をしたのちに気球操縦士の仕事についた。(因みに映画版ではオハマではなくカンザス)
【エピソード】
- ある日うっかり気球で飛ばされ、この地に降り立った彼は大魔法使いだと担がれる。
- エメラルドに輝く彼のための宮殿ができると、彼は誰とも顔を合わせずに、あらゆる仕掛けと声真似を駆使して皆を騙した。
- そしてこの国に住む本物の魔女たち、とりわけ自分に危害を及ぼしかねない西の魔女と東の魔女に怯えながら過ごした。
- 東の魔女を倒した主人公がやって来たことを知ると、願いを叶える代わりに西の悪い魔女を倒すことを条件に一行の願いを叶えることを約束する。
- その後結局主人公一行に正体がバレ、彼なりの誠意を持って一行の願いを叶える。(おまじない的な処置で)
- 最後彼は、自分と主人公がカンザスに帰るために気球を手作りする。
- そしてカカシに国を任せ、気球に乗り遅れた主人公と民衆に別れを告げ、空へと旅立って行った。
- その後の彼の消息を知る者はいない。
◆西の悪い魔女
【人物概要】
- オズ王国において邪悪とされている魔女。
- 彼女は片目しか見えないが、その目は望遠鏡のようにどこまでも見ることができる。
- 体の血は邪悪すぎるゆえ、何年も前に干からびていたのでトトに噛まれても血が出なかった。
- 水を恐れ、絶対に水に触らないよう気をつけて生活していた。
- 映画版では緑色の肌で登場し、東の悪い魔女とは姉妹関係になっている。
【エピソード】
- 経緯は不明だが、三つの願いを叶えてくれる金の帽子を手に入れる。
- 翼ザルを呼び出した彼女は一回目の願いでウィンキーたちを奴隷にして西の国を支配する。
- 二回目の願いでは翼ザルをオズと戦わせ、彼を西の国から追い出した。
- やがて彼女は、魔法で奴隷にされてしまうと人々から恐れられるようになった。
- そして主人公一行が彼女のテリトリーに入ると、銀の笛を吹いて手下を呼び出し襲わせた。
(一回吹くと狼、二回吹くと黒いカラス、三回吹くと黒いハチ) - いずれも阻まれ、金の帽子の三回目の願いを使って翼ザルたちを出動させる。
- ドロシーが銀の靴を履いているのに気づくと罠を仕掛けて片方を奪い取る。
- しかし怒ったドロシーに水をかけられ、溶けて消滅した。
【引用要素】
- アンナの緑色の肌。
- アンナのSPELL。水晶玉で遠くを映し出す。
ローマ帝国の世相
【概要】
- 古代ローマはかつて、次々と近隣諸国を征服し版図を広めた。
- 国が発展する一方で市民の格差は拡大し、徴兵や安い農産物の流入で農業が立ち行かなくなり、没落する中小農民が増える。
- そのような世相において、彼らからの得票数を稼ぎたい政治家、あるいは社会秩序を維持したい為政者は、市民に対して度々食料と娯楽の無償提供を行った。
- それがパン(食料)とサーカス(娯楽)。
- そして上記で説明した世の中に陥いる。
- 因みに、無償提供が可能だったのは、広大な属州から徴収した富がローマに集められていたからで、この搾取前提の安楽はいずれ破綻を招き、ローマ帝国は衰退して行った。
- ※1パンといっても当時は小麦のこと。
- ※2サーカスといっても当時は闘技や競技の事で、それも結構血生臭い類のものだった。
【引用要素】
- 121話で野次を飛ばす民衆に対して、ジョン・レインが「衆愚が」と一蹴する。
【概要】
- この闘技場では当時、剣闘士同士や剣闘士と猛獣の戦いが見世物として繰り広げられていた。
- 建物が完成した際の「奉献式」では、猛獣5000頭が殺され、数百人の剣闘士が命を落とした。
- 因みに剣闘士っていわゆるグラディエーターってやつですが、民衆からの人気を集めるスター性がある一方で、彼らは死ぬのが前提の職業。社会的地位としては、奴隷とほぼ同じような扱いだったよう。
- (当時の民衆は本当に血を流した戦いを望んでいたんですね)
フランダースの犬(ウィーダ、1872年)
【参考】
- wikipedia:フランダースの犬
- フランダースの犬(Open Shelf)
【概要】
- ベルギーのフランダース地方にある小さな村を舞台に、貧しい少年ネロと忠犬パトラッシュを描いた物語。
【引用要素】
- 111話、コローディ領主のセリフ「要求に応じなかった街や村がどうなった⁉︎ 隣町のフランダーシルを見てみろ」
- 123話のタイトル「フランダーシルの忠犬」。パトラッシュのことか――――っ!
- 今気づいたけど、レイン親子の容姿はパトラッシュに寄せてますね。茶色い肌にクリーム色っぽい金髪。
- 123話の扉絵で、ジョンが花輪をかぶっている→アニメの1話でネロが女の子に花の首飾りをかける。
- ジョンが筋肉増強のSPELL(剛のSPELL)を操る→パトラッシュは筋肉モリモリの大型犬という説明がある。作中では「鉄の血統(iron race)」と形容されている。
- 131話、ドロテーアのモノローグ「もう疲れた……眠いよ……アルフレド」→あの名シーンですね。「パトラッシュ……疲れたろう? 僕も疲れた。なんだかとっても眠いんだ。パトラッシュ……」
- 135話、ドロテーアが気を失って行くシーンこそ上記のモノローグが合いそう。そして極め付けは「アイツは死ぬんだ」のダメ押し。「フランダースの犬」は、主人公が死ぬ物語。
- 137話、公納金引き上げに反発した3都市パトリシア、フランダーシル、ネロム→それぞれパトラッシュ、フランダース、ネロのもじり。
その他
◆ピノッキオの冒険(カルロ・コッローディ、1883年)
【参考】
【概要】
- ディズニー映画「ピノキオ」の原作。
- 作者名のとおり、「コローディ」の由来
◆ギリシャ神話
- 87話、ナイアス川(コローディの地図より)→ナーイアス。川や泉に住まう妖精。
- 88話タイトル「大人のおねえさんが勝負を仕掛けてきた!」→「◯◯が勝負をしかけてきた」。ゲーム版における定型句。
- 89話、老羊屋→コメント欄では、「地球屋」っぽいという声がチラホラありました。確かにアンティークの置き時計とか、お皿とか、それっぽいですね。
◆キキーモラ(wikipedia:キキーモラ)
- ロシアに伝わる幼獣。
- 外見はいくつかパターンがあるようだがそのうちの一つは、狼の顔に白鳥のくちばし、熊の胴体に鶏の足、尻尾はロシアの大型犬(ボルゾイ)。
- 行動的特性もいくつかバリエーションがあるようだが、働き者の願いを叶え、怠け者を喰らう。狭くて暗い場所に隠れていて、夜になると大騒ぎして住人を妨害する、あるいは機織に強い興味を示し、夜になると大きな音を立てて機織をするとかなんとか。
◆となりのトトロ(スタジオジブリ)、千と千尋の神隠し(スタジオジブリ)
- 掃除妖精キキーモラのモデル→テト(キツネリス)。それでいてキキーモラ自体の特徴も踏襲してます。
◆ごきげんよう(テレビ番組)
- 91話、「何が出るかな、何が出るかな♪」
この回が公開されたのは、ちょうどもうすぐ番組が終わるって言われてた頃
【概要】
- 僧侶たちの伝記。
- 「破鏡、重ねて照らさず、落花、枝に上り難し」の出所
【引用要素】
- モコ婆とアルフレドの禅問答的なやりとり
- 「破鏡、重ねて照らし、落花、枝に上る可し」
◆ツァラトゥストラはかく語りき(フリードリヒ・ニーチェ、1885年)
【参考】
【割と無責任で雑な要約】
- 神は死んだ。
- 世界はループしてる。
- 人類は「超人」になるべき。
【引用要素】
- 91話タイトル「賢者はかく語りき」
- 鷲(ワシ)の上半身とライオンの下半身を持つ伝説上の生き物。
- 女王に命じられてアリスを代用ウミガメ(モックタートル)のところまで連れて行き、裁判が始まるとまたアリスを連れて戻る。
- 何かと話の腰を折るアリスに「そんなことも知らないのか」という感じでディスってくる。→書いてて気づいたけどこれ90話のアルフレドだな。(何でそんなに厳しいんや……と思ってたけどそういう事か)
- アリスを連れて行くときはとにかく「おいで!」を連呼しながら走り出す。→ドロテーアを連れ去る時のオズ。
◆タロットカード「塔」
- 97話、アルカナの塔→大アルカナに属するカード「塔」。
- カードの絵は、王冠のような頂を持つ塔が、落雷、あるいは火災によって崩壊し、そこから二人の人間が落下している様子が描かれている。
- 「破綻」というテーマを持ち、正位置でも逆位置でもネガティブな意味を持つ最凶のカード。
- カードの解釈の仕方は色々あるようだが、王冠の塔というのは、宗教的、あるいはプロパガンダ的なものを意味し、それらに囚われている人々を神由来のアクシデントにより解放する。そんな感じの解釈ができる。「バベルの塔」がモチーフ。
- パンチネロのセリフ「燃えよドラゴン鶏、怒りのパンチ蹴り‼︎」→「燃えよドラゴン」
- ドロテーアがサーカスに乱入した時の格好→黄色いトラックスーツ自体は「死亡遊戯」という映画で着ていたそうなんですが、既にブルース・リーの代名詞になってますね。
◆ラプンツェル/髪長姫(グリム童話、1812年以降)
【参考】
【あらすじ】
- 塔に閉じ込められた主人公が、長い髪を塔の窓から垂らし王子を登らせる。
- 逢瀬を知った魔女は娘の長い髪を切り、彼女を塔から追放。娘に会いに来た王子には娘が死んだかのように顛末を聞かせた。
- 失意の彼は塔から転落して失明。その後森をさまよい、やがて辿り着いた砂漠で娘と再会する。娘の流した涙によって彼の目が元どおりになり、王子の国へ連れ帰って幸せに暮らした。
【引用要素】
- 102話、オズとアンナが会っている場所が、塔の中のように見える。
- オズが失明している。
◆ブリタニア列王史(ジェフリー・オブ・モンマス、1136年)
- アーサー王の父ユーサーが「ペンドラゴン」の称号を得た経緯は、「怪物鯨の章のモチーフ」に書いたので省略。
- 彼は赤い竜と白い竜の戦いを鎮めるために、二匹の黄金の竜を作らせた。
【引用要素】
- 108話冒頭に二匹の黄金の竜が出てきます。
- 137話王都と国旗の配色、赤・白・金→赤い竜、白い竜、黄金の竜
◆ヴェネチア・カーニバル
- イタリアのヴェネチアで、2月付近に行われる年に一度の祭典。
- 参加者は独特な仮面(ヴェネチアンマスク)とルネッサンスな感じの衣装で街を練り歩く。
- 1162年、アクイレイアの総主教との抗争に勝利したことを祝い、人々がサン・マルコ広場で踊りを踊ったのが起源とされている。
- 仮面が使われるようになったのは15世紀あたり。(多分仮面舞踏会からの影響で取り入れられたんだと思います。階級社会において、素性を隠し皆が平等に楽しむための舞台装置というわけですね)
【引用要素】
- 108話冒頭の街の様子。
◆ヴェネチアのゴンドラ祭り(レガータ・ストリカ)
- 9月の第一日曜日に行われるゴンドラを使ったレース。ヴェネチアの中心を流れる大運河(カナル・グランデ)
- レースの前には水上パレードが行われ、この祭りの由来となったカタリーナ王妃の帰還を祝うパレード(1489年)を再現している。
【引用要素】
- 108話冒頭、ゴンドラパレード。
◆オズの魔法使い>赤いケシの花
- 8章に出てくる赤いケシの花の群生地。原文では「scarlet poppies」
- 作中では非常に強い催眠作用がある設定になっていて、その赤い花畑を抜けようとする人間や動物は、畑の途中で眠り込んでしまい、誰かの手で畑の外に運ばれない限り、眠り続けたままになる。
【引用要素】
- 108話、宿の部屋に飾られていた。
◆不思議の国のアリス>チェシャ猫
- 公爵夫人のエピソードから登場するキャラクター。
- 「grin like a Cheshire cat」という慣用句を具現化したとされる。三日月のように口元をニヤつかせている。
- アリスの前に唐突に現れ助言をしたり惑わせたりした後、すっと消える。急に消えないでと言われると、ゆーっくり消え、笑う口元のみを残す(a grin without a cat=猫のない笑い)
【引用要素】
- ギミックまとめでも書きましたが、110話のサーカス団員のプロフィールで空中ブランコ乗りの女の子の名前が「Cathy Cheshirecat」と書いてある(気がする)。
◆チャールズ・チャップリン(wikipedia:チャールズ・チャップリン)
- 映画の黎明期に活躍した映画俳優(コメディアン)。監督も脚本も音楽も全部こなす。
チャップリンの最もよく知られている役柄は「小さな放浪者=The Little Tramp」である。窮屈な上着に、だぶだぶのズボンと大きすぎる靴(ドタ靴)、山高帽に竹のステッキといったいでたち、パーマ頭にちょび髭の人物で、アヒルのように足を大きく広げてガニ股で歩く特徴をもつ。ホームレスだが紳士としての威厳をもち、優雅な物腰とその持ち前の反骨精神でブルジョワを茶化し、権力を振りかざすものを笑い飛ばした。
(wikipediaから引用)
【引用要素】
- チャールズ・ボンバイエの名前と格好
◆ヘンゼルとグレーテル(グリム童話、1812年以降)
【参考】
【あらすじ】
- 口減らしで森に捨てられると知ったヘンゼルは、不安がるグレーテルをなだめ、夜のうちに小石を拾い、道すがら落としていった石を頼りに家に辿り着いた。
- 程なくして、また森へ捨てられそうになるが、今度は石を拾えなかった。仕方なくヘンゼルはパンくずを落としていき、昼には二人でパンを分け合って食べた。
- しかしながら落としたパンくずは鳥に食べられていて、二人は三日三晩さまよったのち、お菓子でできた家にたどり着く。
【引用要素】
- 116話、フェリシテと、フェリシテ兄のモチーフ。
- 空き家を見つけたロバたち一行は、中にいる泥棒を追い出すため一計を案じる。
- ロバの上に犬、犬の上に猫、猫の上にニワトリ、その状態で一斉に鳴き声を出した。
【引用要素】
- 117話。グリスの登場シーン。象、麒麟、パンサー、ロバの動物タワー。
- 黄色いトラックスーツ。
- 125話の座長「ヤッチマイナァァァ‼︎」→ルーシー・リゥの極妻ばりの決め台詞。
◆ゴンドラの唄(吉井勇:作詞、1915年)
【参考】
【概要】
- 劇団「芸術座」の演劇「その前後」(ツルゲーネフ原作)の劇中歌
- 「命短し恋せよ乙女」という有名なフレーズはこの曲の歌詞が元ネタ。
- 歌詞自体の元ネタはヴェネチアの民謡。もっといえば民謡を引用したアンデルセン、を訳した森鴎外の文を元にしている。
- 劇中では船の漕ぎ手(ゴンドリエーレ)がこの唄を歌うんだとか。
- (そういえば彼らは、ゴンドラを漕ぎながら唄を歌ってくれるイメージがありますね)
【歌詞】
いのち短し 恋せよ乙女
あかき唇 あせぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものをいのち短し 恋せよ乙女
いざ手をとりて かの舟に
いざ燃ゆる頬を 君が頬に
ここには誰れも 来ぬものをいのち短し 恋せよ乙女
波にただよう 舟のよに
君が柔わ手を 我が肩に
ここには人目も 無いものをいのち短し 恋せよ乙女
黒髪の色 褪せぬ間に
心のほのお 消えぬ間に
今日はふたたび 来ぬものを
(Wikipediaより)
- (てっきり「少年よ大志を抱け」的なやつかと思ってたんですが、これって口説き文句ですよね、唄の内容)
【引用要素】
- 126話タイトル「命短し怒れよ乙女」
◆即興詩人(アンデルセン、1835年)
- ついでなので「即興詩人」も調べてみた。
【参考】
- wikipedia:即興詩人
- ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 即興詩人 IMPROVISATOREN(青空文庫)
- 即興詩人 - アンデルセンハンス・クリスチャン | 青空書院(スマホ向け)
【概要】
【一部あらすじ】
- 即興詩人を目指す主人公は、失恋の傷を癒すため、水の都ヴェネチアを訪れる。
- 船で乗り合わせた一人の少年が、ヴェネチアの里歌を口ずさんだ。
- それを聞いた主人公は、卑猥で気ままな歌だとした上で、それでいながら挽歌のようだなと感じた。※挽歌=人の死をいたむ詩歌
【抜粋】
- 「ゴンドラの唄」の元ネタ部分
朱(あけ)の唇に觸れよ、誰か汝の明日(あす)猶在るを知らん。戀せよ、汝の心の猶少(わか)く、汝の血の猶熱き間に。白髮は死の花にして、その咲くや心の火は消え、血は氷とならんとす。來れ、彼輕舸(けいか)の中に。二人はその蓋(おほひ)の下に隱れて、窓を塞ぎ戸を閉ぢ、人の來り覗(うかゞ)ふことを許さゞらん。少女(をとめ)よ、人は二人の戀の幸を覗はざるべし。二人は波の上に漂ひ、波は相推(あひお)し相就(あひつ)き、二人も亦相推し相就くこと其波の如くならん。戀せよ、汝の心の猶少(わか)く、汝の血の猶熱き間に。汝の幸を知るものは、唯だ不言の夜あるのみ、唯だ起伏の波あるのみ。老は至らんとす、氷と雪ともて汝の心汝の血を殺さん爲めに。
(「妄想」の章より)
- 補足:猶→なお、知らん→知るだろうか、戀→こい/恋、ならんとす→なろうとする、來れ→(多分)来い、輕舸→けいか/小舟、許さゞらん→許すまい、覗はざるべし→見ないだろう、亦→また、其→その、ならん→なるだろう、爲めに→ために
【概要】
- 一見、失恋の歌かのように聞こえますが、調べてみると、9.11をきっかけに作られた鎮魂歌なんだそう。
- そう言われると、犠牲となった人物の視点で詩を読んでみると結構しっくりくる。
- かつて百年以上前に、日米の友好の印に日本からアメリカに対して桜を贈り、その返礼として贈られたのが「花水木」
- 花水木の花言葉は「永続性/耐久性」「逆境に耐えうる愛」「私の思いを受け取ってください」「返礼」(一青窈さんはこの辺の花言葉も意識して作詞してそう)
- 一部タイタニックのモチーフも取り入れているそうです。
- 僕はいいから、君と君の大切な人が幸せになれるようにっていうのは一見自己犠牲的。この主人公は何も、辛さや寂しさ、あるいは怒りや憎しみ、そういう感情を持っていないわけじゃない。しかし、それらの感情を超越したのは、「水際」つまり今際の際を越えたから。自身の感情のしがらみから解放され、残ったのは「君」に幸せになってもらいたいという気持ち、ただそれだけ。(勝手な想像ながら、作詞プロセスから見ても主人公はこういう心境の変化を辿ったような気がします)
- 理不尽な死で現世に大切な人を残してきてしまった人たちからのメッセージ。そんなところでしょうか。
【引用要素】
- はっきりと引用してるかと言われると、たまたま合致してるだけなのかもしれませんが、「ハナミズキ」の詩を読んでいると思い当たる節が散見します。
- 「薄紅色」「果てない夢」「僕の我慢」「蝶々」
- 花水木の花の色なんて特に、SPELLのあのピンク色を思わせます。
- 満開になった花水木というのも、あの蝶々の群れを思い起こさせる。
- 131話の最後のドロテーアがピンク色に光るシーンですが、手を伸ばして天を仰いでる感じが、詩の内容とも一致しますね。「枝先で空に向けて花を咲かせる花水木」を表しているような。
- 6話でアルフレドがドロテーアに取引を持ちかけるシーンで、彼は「果たしてない約束を二つ果たすため」と言います。このセリフを読んだ当時は結構な引っかかりを覚えました。「二つの約束を果たすため」で済む気がするんですが、なんで「果たしてない」を強調させたんだろうと。
- 6話で既にこの引用を意図して仕込んでいたんだとしたら、(正直震えが止まらない)131話のドロテーアのシーンはyoruhashi先生が描きたかったシーンの一つかもしれませんね。
- そう思うとなんだか感慨深い。(もちろんこの先のもっと感慨深くなるシーンはあるんですが)
◆オズの魔法使い>臆病なライオン
- メージ・グリフォンにはかつてライオンのモチーフがありました。(ジルコニアの章登場時)
- それを考えると、134話でドロテーアがメージに啖呵をきったシーンは、ドロシーがライオンを一蹴するシーンを再び踏襲してるんじゃないかと思います。
◆人虎伝(中国に伝わる伝奇、國譯漢文大成版)
【参考】
【概要】
【あらすじ】
- 主人公の李徴(りちょう)は色々あって虎になり、翌年、通りかかった友人に声をかけた。
- 友人は李徴に、虎になってしまったことについて思い当たる節はないのかと問いかけ、彼は心に巣食っていた罪を告白した。
- その内容は、未亡人との密会、そのことに気づいた彼女の家人が逢瀬を禁じ、すると李徴はその家に放火し、家人たちを焼き殺し、逃亡した、という内容だった。
- (バチが当たったと考えたんですね)
【引用要素】
- ダッカー隊長のモチーフ
- 111話、ハインツのセリフ「ピノキオ家の一件は……」
- 135話でダッカーのモノローグ「嘗ての私のように――」→未亡人との密会の部分にあたる「嘗私一孀婦」という一節。(ちなみに漢文での「私」は密かにという意味)
- 上記モノローグの背景で、火の粉っぽい描写がる。
◆オズの魔法使い>金の帽子
【概要】
- オズの魔法使いに登場する魔法アイテム。
- 「金の帽子」の持ち主は、三度だけ翼猿を呼び出すことができ、願い事を聞いてもらえる。
- 作中では、北のお姫様→お姫様の婚約者→(不明)→西の悪い魔女→ドロシー→グリンダ/南の良い魔女と経由する。
- 西の悪い魔女は、ウィンキーの地を支配するため、オズを追い払うため、ドロシー一行を追い払うために力を使った。
- ドロシーは、都への移動、カンザスへの移動(不可能と断られる)、北の国への移動に力を使った。
- グリンダは、カカシ、木こり、ライオン、それぞれが望む場所へと送るために力を使った。
- 最後はグリンダの計らいで翼猿たちに渡され、彼らは金の帽子の縛りから解放された。
【引用要素】
- コメント欄で指摘されていて気付いたんですが、「金冠(ゴールデンコロナ)」ですね確かに。
◆シンデレラ
- 136話のタイトル「The beauty」→23話の「どんな美女より美しい」との関連
- ドロテーアが寝ている間、片方の靴が脱げていました。(あれっていつのまにか履いてたけど、アルフレドが履かせた?)
◆白雪姫
- 136話の最後は、キスで目覚める系の踏襲
◆いばら姫/眠れる森の美女
- 白雪姫と同じ
- 136話のタイトル「The beauty」→「Sleeping Beauty」
(何というか、「プリンセス」という要素を強調して引用しているように思います。)
◆美女と野獣(ディズニー、1991年)
【参考】
【あらすじ】
- 森の奥に住む王子はその傲慢さから魔女の怒りを買い、野獣の姿に変えられる。
- 「バラの花びらが全て落ちる前に『真実の愛』を見つけなければ、この魔法は解けない」
- 十年後、父を探しに城へ迷い込んだ娘ベルは野獣と出会い、最初こそ野獣の横暴さに困惑していたが、やがて彼の優しさに気づき、次第に惹かれてゆく。
- 一方、ベルに振られた男が画策し、城は奇襲をかけられ、野獣は矢を受けてしまった。
- 死の淵でベルに想いを伝える野獣。亡骸となった彼に、ベルは泣きながら愛の告白をした。
- すると野獣は王子の姿で蘇り、二人は結ばれた。
【引用要素】
- 136話のタイトル「The beauty」→「Beauty and the Beast」
- ドロテーアの死因(仮)が矢を受ける
- アルフレドにはバラのモチーフがあるように思います→コローディ編の新衣装の襟のデザイン
- コメント欄で既に指摘されていたのですが、ドロテーアの黄色とアルフレドの青という組み合わせは美女と野獣の組み合わせと同じです。
- 「真実の愛」→トトも言ってましたね。「勇気、忍耐、理不尽と弱い自分に負けない心、打算なしに信じ合える仲間、真実の愛。それらを一つも知らんままでは到底一人前になれん」
◆クローン羊のドリー(wikipedia:ドリー(羊)
- 世界で初めてつくられた哺乳類のクローン
- クローンであることとの因果関係ははっきりしないが、ドリーの寿命は6年と短命だった。
【引用要素】
- エメラルド城の報告官オグ・ユーフラテスのモデル
- オグと同一の個体が複数あり、使い捨てされている風な描写がある。(出血していたので泥偶人形とかではなく生命体)
- (オグは記憶を引き継いでるっぽかったけど、記憶移植? なんてのが可能なら二番目の魔女のそばにいた狼=ジルコニアっていう説もありえそう)
【引用要素】
- 妖蜜酒のモチーフ……かな。妖精から取れる蜜?
◆四神(wikipedia:四神)
- 中国から発祥した、四つの方角(東西南北)にはそれぞれ司る神がいるよという考え方。あるいは星宿区分の一つ。
- それぞれ空想上の動物に置き換え、神格化されている。
- 東→青竜、南→朱雀、西→白虎、北→玄武
【引用要素】
- 137話では、女王の前にいた4名の護衛。そのうちの一人が「青竜(セロ)」だったので、残り三名も因んでそう。
◆アーサー王伝説>マーリン(wikipedia:マーリン)
【エピソード】
- 『ブリタニア列王史』のマーリンは、ブリテン島の小国の王女と、サキュバスの間に生まれた子で、そのため魔法が使えるのだとか。
- マーリン少年は当時の暴君に人柱にされかけたが、その土地の地下に白い竜と赤い竜が眠っていることを言い当て事なきを得た。
- その後彼は宮廷に迎えられ、この国に関する予言の他に、独力でストーンヘンジの建築を行った。他には変身能力も持っていたんだとか。
- ユーサー王の時代では、王の略奪愛に手を貸し、その際に出来た隠し子(アーサー)を家臣に預け育てさせた。
- 後続のアーサー王文学では引き続きアーサー王に仕え、彼の治世を繁栄へと導く。
- 同時に色事にも興じていて、彼のしつこい誘いにうんざりした女妖精の一人に、岩の下に閉じ込められてしまった。
◆悪魔フルカス(wikipedia:フルカス)
- ソロモン王が使役した72の悪魔の一人。(ソロモン72柱)
- 20の軍団を率いる序列50番の地獄の騎士、場合によっては公爵。
- 白髪白髭を伸ばした老人で、蒼ざめた馬に乗り、手には鋭い槍を持つ。
- 残忍な性格の一方非常に博学で、召喚者に対し、哲学、修辞学、論理学、天文学、手相、火占術などを教えてくれる。
- wikipedia:雪の女王
- ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 雪の女王 SNEDRONNINGEN 七つのお話でできているおとぎ物語(青空文庫)
- 雪の女王(七つのお話でできているおとぎ物語) - アンデルセンハンス・クリスチャン | 青空書院(スマホ向け)
【あらすじ】
- (基本的なあらすじはアトラント編のモチーフまとめに記載)
- カイを探しに旅を出たゲルダの馬車が、山賊の追い剥ぎに遭う。
- 危うく殺されかけたが、山賊娘の気まぐれで命を救われる。
- 山賊娘はゲルダの事情を知ると彼女に同情し、囲っていたトナカイを解放すると、ゲルダを目的地まで乗せていくよう命じた。
【引用要素】