【剣の王国】引用・モチーフ#アトラントの章
「アトラントの章」で引用されているモチーフのまとめです。
【目次】
登場キャラクターの元ネタ
※登場順
【アルフレド】
【エコー】
【ネモ・トンプソン】
- 「海底二万マイル」のネモ船長
- 「船乗りクプクプの冒険」の老船長
- ネモ=誰でもないの意。
【ゴンザーロ(メガネの小太り)】
- 「テンペスト」のゴンザーロー
【キャリバー(青い唇)】
- 「テンペスト」のキャリバン
- 「船乗りクプクプの冒険」のナンジャ
【トリンキュロス(スキンヘッド)】
- 「テンペスト」のトリンキュロー
- 「船乗りクプクプの冒険」のヌボー
【ステファン(頭に鳥を飼う)】
- 「テンペスト」のステファーノ
- 「船乗りクプクプの冒険」のモンジャ
【ドロテーア】
【ピグマイオイの親子】
【髪切り男爵(名前だけ出てくる)】
- 髪盗人
【パンチネロ】
- 「ブレーメンの音楽隊」の鶏
- パンチネロ=不格好な、あるいは道化師という意味。ピエロの原型。
【赤い鳥】不明
【フギンとムニン】
- 「北欧神話」のフギンとムニン
【大旦那】
【アトラントの民】
- 「ギリシャ神話」のポセイドン
作品別引用要素
テンペスト(シェイクスピア、1612年頃)
【参考】
【あらすじ】
- 地位を奪われ島流しにされた主人公プロスペロー。
- 彼は弟が乗る船を嵐に合わせ、12年前の復讐をする。
- 船は島へ上陸し、その後なんやかんやあるストーリー。
【引用元キャラクター】
- プロスペロー(主人公):妖精の力を借りて嵐を起こす。
- 妖精エアリエル:風と空気を操り嵐を起こす。
- キャリバン:魔女シコラスクと悪魔の間に出来た子供。半魚人のような見た目。島の先住民であったが、不届きな行為をしたため、常に妖精たちに見張られながら奴隷としてプロスペローに支配される生活を送る。
- ゴンザーロー:ミラノ王の船旅に同行していた忠実な家臣。
- トリンキュロー:ミラノ王に仕える執事。
- ステファノー:ミラノ王に仕える道化師。
【引用要素】
- ドロテーアを薬で眠らせる→プロスペローが、言うことを聞かない娘を魔法で眠らせる。
- アルフレドとエコーの関係→プロスペローと妖精エアリエルの関係。エアリエル→企てに協力、主人公→彼女の呪いを解く。
船乗りクプクプの冒険(北杜夫、1962年)
【参考】
【あらすじ】
- 主人公はある日、「船乗りクプクプ」という小説の中に迷い込み、船のボーイ:クプクプとして生きることになる。
- この本の作者は、自らこの本の世界に逃げ込んでいて、主人公はこの作者を探す。
- ある島に上陸すると、島の原住民に仲間が捕らえられ、主人公と他二名だけ助かり、本の作者に出会うことができた。
- 作者が原住民を手品で脅かそうとするが、逆に奇術師による凄技で手玉に取られ、捕らえられる。
【キャラクター】
- クプクプ(主人公):勉強嫌いな少年だったが、本の中に迷い込み、アラブの原住民のような子供になってしまう。クプクプ=蝶々の意。
- ヌボー:大男で一見怖そうだが、気は優しくて力持ち。主人公にさり気なく助け舟を出し、人生を説く。
- ナンジャとモンジャ:意地悪だけど本当は気が小さい二人組。
- 老船長:パイプ好きで気難しい
【引用要素】
- わけもわからないまま船に乗り込む事になるドロテーア
- 「何でもは禁句だ」と船員に教えられる→主人公がヌボーに人生を説かれる
- アルフレドに捕らえられるドロテーアと船員
- アルフレドを舐めてかかる選民意識の強いネモ・トンプソン
ガリバー旅行記(ジョナサン・スウィフト、1726年)
【参考】
- wikipedia:ガリヴァー旅行記
- ジョナサン・スイフト Jonathan Swift 原民喜訳 ガリバー旅行記 GULLIVER'S TRAVELS(青空文庫)
- ガリバー旅行記 - スウィフトジョナサン | 青空書院(スマホ向け)
【あらすじ】
- 主人公ガリバーが乗る船が座礁し、泳ぎ着いた海岸で彼は寝落ちしてしまう。
- 彼が漂着したのは小人の国リリパッドで、目を覚ますと身体中を細い紐で捕捉されていた。
- 次第に小人達と打ち解け、ブレフスキュ国との戦争中の彼ら(リリパッド国)に肩入れする。
【引用要素】
オズの魔法使い(ライマン・フランク・ボーム、1900年)
【参考】
- wikipedia:オズの魔法使い
- オズの魔法使 | 映画スクエア
- オズの魔法使い(Open Shelf)
【あらすじ】
- 主人公ドロシーと愛犬のトトは竜巻に巻き込まれ、家ごとオズ王国に飛ばされる。
- ドロシーは北の良い魔女から「銀の靴」を授かり、家に帰るためにはオズの魔法使いに頼むと良いと助言を受ける。
- 脳が欲しいカカシ、心が欲しいブリキの木こり、そして勇気が欲しい臆病なライオンと仲間になる。
- 道中様々な冒険をしながらエメラルドを目指す。
【引用元キャラクター】
- ドロシー(主人公):竜巻に巻き込まれ、オズ王国に飛ばされる。
- マンチキン:小人、小人に由来する国の名前。munch=むしゃむしゃ食べる、-kin=小さい~、転じて餓鬼や小鬼という意味。彼らは青色を好み、マンチキンの国も青で統一されている。
【引用要素】
アーサー王伝説(トマス・マロリー、他、中世後期)
【参考】
【あらすじ】
- とある大寺院に剣が刺さった石が現れ、そこには「これを引き抜いた者こそ、正当な王として生まれてきた者である」と書かれていた。
- 王の隠し子で、自分の出自を知らずに育ったアーサーは、この剣を抜き王となる。
- その後、魔法使いマーリンの助力を得て、伝説の王となる。
- モードレッドとの戦いで深い傷を負ったアーサーは、傷を癒すため、三人の湖の乙女(あるいはモーガン・ル・フェイ)によってアヴァロン島へと船で運ばれる。
【引用要素】
ブレーメンの音楽隊(グリム童話、1812年以降)
【参考】
【あらすじ】
- 飼い主から虐待を受けていたロバは、ある日脱走し、ブレーメンの音楽隊に入隊することを目指す。
- 道中似た境遇のイヌ、ネコ、ニワトリに出会い、仲間になる。
- 彼らは民家に入った泥棒を一致団結して追い出し、家のご飯にありつく。
- その後も戻ってきた泥棒を脅かし、結局ブレーメンには行かずにその家に住み着いて仲良く暮らした。
【引用要素】
- ブーメレンを目指すパンチネロ
- パンチネロの「スープにしてやる」発言→「ブレーメンの音楽隊」に出てくる鶏は、飼い主にスープにすると言われ、逃げ出した。(刷り込まれた恐怖体験は、相手に恐怖を与える立場になった時に潜在化するんですね)
ギリシャ神話
【参考】
◆ピュグマイオイ(wikipedia:ピュグマイオイ)
- 叙事詩「イーリアス」に登場する小人族。しょっちゅう南へ渡ってくる鶴(あるいはコウノトリ)と戦っている。
- 別の伝説では、女神ヘラと間違えられたヘラクレスが、眠っている間に彼らに囚われそうになり、目が覚めた彼はとっさに彼らを捉えた。(ヘスペリデスの黄金の林檎)
- ※「ガリバー旅行記」の元ネタになった話だそうです。
◆エコー(wikipedia:エーコー)
- 「変身物語」に登場するニンフ。
- ゼウスと浮気をしたニンフを匿うため、ゼウスの妻であるヘラに、歌や長いおしゃべりを聞かせ、彼女の怒りを買ったことから、自らは口がきけず、ただただ相手の言葉を繰り返すことしかできなくなった。
- 彼女はそのせいで失恋してしまい、次第に痩せ衰え、遂には肉体を消失し、声だけの存在になってしまった。(因みに恋の相手はナルキッソス)
- ミノタウルス退治のために迷宮に入る勇者に対して、アリアドネが「道しるべになるように」と糸玉を渡す。
- 勇者は迷宮の入り口に糸を結び、この糸をたどって無事迷宮から帰還した。
【引用要素】
- 10話、洞窟へ入るドロテーアにアルフレドがグレイプニルの束を渡す。
◆ポセイドン(wikipedia:ポセイドーン)
- 海と地震を司る神。
- 三又の槍(トライデント)を武器とし、怒り狂うと地震を引き起こし、名の通り世界を震撼させる。
- 彼の宮殿は海の中にあり、珊瑚や宝石で飾られている。
- 彼はネレイドの一人である女性に求婚したが、彼女は断り、自分の宮殿に隠れてしまった。
- 彼女を見つけ出したイルカの功績を称え、そのイルカは宇宙に昇り、星座になった。(いるか座)
【引用要素】
◆ネレイド(wikipedia:ネーレーイス)
- 海に住むニンフの総称。海獣(イルカなど)の背中に乗って海を移動する。
- 全知全能の神ゼウスと愛人であるアルクメネとの間にできた半神半人の子。
- アルクメネに拒まれたゼウスは、彼女の夫に変身し、更には夜の長さを3倍にして彼女と事に及ぶ。(どこかで聞いたことのある話だ……)
- ゼウスはヘラクレスをギリシャの統治者にするつもりだったが、正妻ヘラの横槍で失敗する。
- ヘラクレスは神託により12の難業に挑む事になる。
【引用要素】
失楽園(ジョン・ミルトン)/アダムとイブ(旧約聖書『創世記』第三章挿話)
【参考】
【あらすじ】
- エデンの園には沢山の果樹があるが、中でも「善悪を知る実」だけは食べることを禁じられていた。(禁断の果実)
- ある時イブは、狡猾な生物にそそのかされ、この果実を口にし、アダムにもこれを勧めた。
- 結果その生物は地を這って生きることとなり、アダムとイブはエデンの園を追放された。
【引用元キャラクター】
【引用要素】
- 10話、20話、アトラントの姫が大蛇にそそのかされ、都も奪われる。
- 10話のタイトル「失われた楽園」
シンデレラ(シャルル・ペロー、グリム童話、他)
【参考】
【引用要素】
- 1話、ドロテーアの靴が片方脱げる
- ドロテーア→ドロシー+エラ(シンデレラの本来の名前は「エラ」)
- ドロテーアの家族構成(継母と継姉二人)
その他
- 14世紀初頭、スイスに住んでいた伝説の英雄で弓の名手。
- 不敬の罪に問われ、彼の息子の頭上に置いたリンゴを射抜くか、死を選ぶかを迫られ、見事リンゴを射抜く。
- この出来事は、当時オーストリアに支配されていたスイスが、独立を果たすきっかけとなった。
【引用要素】
- 1話。アルフレドが落ちてきたリンゴと共に船員のヘアバンドを射抜く
【あらすじ】
- 井戸に落ちた娘が気づくと草原にいて、焼き釜で焦げそうになっているパンと、熟しきったリンゴを助ける。
- その後、ホレおばさんの家に迷い込み、家のお手伝いをして過ごしたのち、元の家に帰る。
- 沢山の褒美を抱え戻ってきた継娘を見て、継母は実娘をホレおばさんの家に行かせるが、怠け者の彼女は手伝いなどするはずもなく、樹脂を塗られて返された。
【引用要素】
- 1話「揺らして……落として……」→熟しきったリンゴが、木を揺らして実を落として欲しいと頼む。
◆ラプンツェル/髪長姫(グリム童話、1812年以降)
【参考】
【あらすじ】
- 塔に閉じ込められた主人公が、長い髪を塔の窓から垂らし、それを伝って王子を登らせる。
【引用要素】
- 2話、ドロテーアが窓から顔を出し、長い髪がなびくシーンがそれっぽい。
【引用要素】
- こちらにも妖精エアリエルが出てくる。
- エコーのセリフ「髪切り男爵に切られちゃうぞ!」
◆ピグミー(wikipedia:ピグミー)
- アフリカの熱帯雨林に実在する狩猟採集民族。
- 恥の多い生涯→4話に紛れてます。
◆ワンピース(尾田栄一郎、1997年〜)
- 5話のドロテーアの泣き顔→ロビンの泣き顔。
- ネモ・トンプソン→エネルに似てるともっぱらの噂です。下まつ毛かな。
- 島じゃなかった→巨人が出てくる辺りの話にそんなのがあった。
- 「仕込みまとめ」でも書きましたが、7話のドロテーアは履いてます。
◆くるみ割り人形(アレクサンドル・デュマ翻案、チャイコフスキー作曲)
【参考】
【概要】
- 原作がデュマによって翻案され、ヒロインの名前も改変、物語も簡略化されています。
【あらすじ】
- 主人公クララは老人からもらったくるみ割り人形を気に入る。
- 夜の12時を回ると彼女は人形と同じサイズになってしまう。
- するとねずみの王様とくるみ割り人形の戦いが始まり、彼女が助け舟を出すと人形は勝利し、さらに人形は王子様へと変身した。
【引用要素】
- ドラジェ→お礼に、お菓子の国へ連れて行ってもらえる。そして女王ドラジェの精に歓迎される。
- ライン川近くの岩山。
- 岩山に向かって叫ぶと木霊が返ってくる。
- 水難事故が多く、美しい歌声で誘い、船を転覆させる人魚(セイレーン)の伝説などに結び付けられる。
【引用要素】
- 10話のアトラントの亡霊のモチーフ。
- エコーのモチーフ。
- 蛇、もしくは竜が、自身の尻尾を飲み込み環をつくるイメージを、生命力や、永遠性、完全性の象徴とする。
- 「死と再生」、「不老不死」、「創造と破壊」など。
【引用要素】
- 10話、アトラントの都をぐるっと包み込む大蛇
◆みにくいアヒルの子(アンデルセン童話、1843年)
【参考】
- wikipedia:みにくいアヒルの子
- ハンス・クリスチャン・アンデルゼン Hans Christian Andersen 菊池寛訳 醜い家鴨の子 DEN GRIMME AELING(青空文庫)
- 醜い家鴨の子 - アンデルセンハンス・クリスチャン | 青空書院(スマホ向け)
【あらすじ】
【引用要素】
- ドロテーアに選ばれた「金の卵」は、他の卵より小さく、ドロテーアが卵に聞かせる話も、どこかこの童話を暗示しているような……。
◆雪の女王(アンデルセン童話、1844年)
念のため言いますけど剣の王国はアナ雪よりも前に始まってます。
【参考】
- wikipedia:雪の女王
- ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 雪の女王 SNEDRONNINGEN 七つのお話でできているおとぎ物語(青空文庫)
- 雪の女王(七つのお話でできているおとぎ物語) - アンデルセンハンス・クリスチャン | 青空書院(スマホ向け)
【あらすじ】
- 少年カイは、悪魔がつくった鏡の破片が刺さった事で、性格が様変わりする。
- ある日カイは雪の女王に連れ去られ、彼女の虜になる。
- カイの幼馴染の少女ゲルダは、長い旅の末カイを探し出し、彼女の流した涙はカイに刺さった破片を溶かす。
- 正気を取り戻し、二人は故郷に帰った。
【引用要素】
- 冷気のSPELLのモチーフ。使い手(ジルコニア)が心が温かい人というのが良いですよね。
- 18話、エコー「ドロテーア大丈夫?」、アルフレド「全然ダメ」
→チェシャ猫「調子はどう?」、アリス「全然ダメ」。
チェシャ猫もエコーも他の人には見えない、つまり主人公が見えない誰かとこの会話をしているという共通点があります。 - 18話、育児放棄ネタ→アリスが成り行きで公爵夫人の赤ちゃんをあやすというシーンがあります。
- 18話、ドロテーアのセリフ「だって置いていけないし」→上記と同じ。
- 16話、「お待ちください。(略)おかしい点に気づきませんか」→ハク「お待ちください。(略)まだ分かりませんか、大切なものがすり替わったのに」
- アルフレドの家が魔女っぽいと評される
- 毒リンゴを作るアルフレドは、「白雪姫」における魔女(お妃)のモチーフも入ってそう。
◆茨姫/眠れる森の美女(グリム童話、他)
【参考】
【あらすじ】
- ある国に誕生した王女のために、12人の魔女がそれぞれ祝福の魔法を王女にかけて行く。
- そこへ13番目の魔女が現れ、「王女が錘(つむ)に刺されて死ぬ」という呪いをかけてしまう。
- まだ祝福を贈っていなかった12番目の魔女によって、「死ぬのではなく100年眠る」という呪いに変更されてた。
- 王女が眠りについてから100年後、茨だらけの城へやってきた王子のキスによって彼女は目覚めた。
【作品要素の引用】
- 9話と19話に出てくる有刺鉄線が茨を暗示している気がします。
- だとすればジルコニアは百年の眠りについた王女?
- だとすれば有刺鉄線で指を怪我するアルフレドは、茨をかき分け王女を助けに来る王子?
- あるいは15歳で錘(つむ)に刺される王女のモチーフか。