【剣の王国】SPELL(スペル)一覧

剣の王国に登場するSPELLのまとめです。
各SPELLを使った技名は「戦闘スタイルまとめ」の方に記載してあります。
https://tsuruginooukokumatome.hatenablog.com/entry/2018/07/28/185527

【目次】

SPELLとは

SPELL(スペル)とは、「剣の王国」作品世界における超自然的な力。
複製可能な一般SPELLと、複製不可な特殊SPELLが存在する。
SPELLは、武器・道具・生物、様々な物質に宿るという性質から、モノとして扱うことができる。
また部族によっては特有のSPELLが継承される。これは遺伝やアイテムによって受け継がれる。

SPELLの成り立ち

剣の王国初代王カンブリアが携えた聖剣「カリバーン」には、あらゆるSPELLを生み出す力があり、建国した際、まず彼は五つの種族に対しSPELLを授け、執政を担う役割を与えた。
伝説によると、全てのSPELLは、この「カリバーン」により生み出されたとされている。

本編60話から想像するに、初代王の死後、歴代の王は巡回統治を行なった訳だが、それは各種族の縄張りに出向き、対話を重ね、その際にそれぞれの種族にSPELLを授けていったと考えられる。

作中に登場するSPELL

五部族が継承するSPELLアイテム

※SPELLが創造された順。

◆金の懐中時計/金時計
空間圧縮のSPELL。とどのつまり、ワープですね。発動時は緑の光を放つ。
保有者】金細工師の部族、部族長→白兎のジョーカー
【モチーフ】不思議の国のアリス

◆湖水晶の斧(こすいしょうのおの)/真実の斧
万物のあらましを瞬時に把握することができるSPELL。
保有者】森番の部族、ムグムン
【モチーフ】金の斧・銀の斧

◆竜牙の笛(りゅげのふえ)
竜を意のままに操る笛。
保有者】竜飼いの部族、イザナダ→ジルコニア→アルフレ
【モチーフ】アーサー王の父ユーサー・ペンドラゴン

◆月繭絹の絨毯(つきまゆぎぬのじゅうたん/ナールガナフ)
空を飛ぶことができる絨毯。
【モチーフ】アラビアン・ナイト

◆銀の靴
かかとを打って風や竜巻を発生させる。
保有者】銀細工師の部族、グランピウス→ドロテーア(内、片方は王国に没収された)
【モチーフ】オズの魔法使い
【謎】
①ドロテーアによると、左足だけ少し大きいらしい。但し作画上においては極端な差は見えない。
ルフレドは偽物ではないかと考察している。
②血に触れた銀の靴が赤く変色するという現象が起こっている。

人に宿るSPELL

厳密には人に宿っているのかどうかはよくわからないが、アイテムに宿るSPELLと区別するため便宜上こう定義しておきます。

◆光芒の尾紐(グレイプニル/ニール)
ピグマイオイ(小人族)が継承するスペル。
保有者】油売りの部族、ピグマイオイの親子→アルフレ
【モチーフ】ガリバー旅行記北欧神話

◆影絵のSPELL
術者に従う影を作り出すSPELL。
保有者】ネモ・トンプソン
【モチーフ】影踏み
【詳細】
作中は主に犬の影を戦わせた。
影従が、攻撃対象の影を攻撃すると、対象者の生身の方も攻撃を受ける。
あくまで影が存在できる範囲のみ有効。
物陰などに当たると、見えない壁にぶつかったかのように潰れて消えてしまう。
あるいは、光を当てて影を消すことで、消滅する。

◆冷気のSPEEL/氷結のSPELL
冷気を操るSPELL。
保有者】ジルコニア→フギンとムニン→アルフレドによって破壊され消滅
【モチーフ】雪の女王

◆愛のSPELL
男を意のままに操るSPELL。
保有者】女王陛下

◆剛のSPELL
筋肉増強のSPELL。
保有者】ジョン・レイン
【モチーフ】フランダースの犬のパトラッシュ
【詳細】
発動すると、身体に文様が浮かび上がる。
リグワール曰く猛獣にとっては相性が悪い。
逆にリグワールのように飛び道具使ってくる敵には弱そうですね。
あと筋肉増強という特性を考えると、免疫系が脆弱だったりして? 毒にやられやすい?

SPELLアイテム

◆青いリボン(テープ)
触れたものを透明にする。使い切り。但し保有者は透明にならない様子。(8話)
保有者】アルフレ

◆奴隷の契約書
奴隷印のSPELL。奴隷契約によって体の一部に印(バーコード)が刻まれ、逃げようとすると体に電流が走り死に至る。
保有者】作中、具体的な説明はないが、一定の条件を満たせば、或いは契約書さえ入手すれば行使できるのかと。
【詳細】
契約書を破いたり燃やしたりした場合、契約関係が解消される。

◆いるか座の羅針盤(ネレイド・コンパス)
海流を操るSPELL。大波や嵐を自在に操る。発動時はキラキラとした光の粒子を放つ。
保有者】(鎧戦士の部族、)エコー→アルフレド→白兎の「ジョーカー」
【モチーフ】ギリシャ神話(ポセイドンとイルカと妻)
【詳細】
白兎の「ジョーカー」曰く、五部族の継承SPELLに匹敵する力と希少価値。

◆SPELLチョーク
特別な数式を記述すると、記述通りのSPELLが実行される。生成物は一定時間で消える。
保有者】ジルコニア
【モチーフ】各種ファンタジー(魔法陣)、プログラミング、物理方程式
【詳細】
ルフレドがジルコニアの部屋で発見したもの。
彼は数式を記述し、蝶を生成して遊んでいた。

◆魔女族の羽根ペンとSPELLインク
SPELLチョークの羽根ペンバージョン。
保有者】魔女族→隣国により略奪→アルフレ
【詳細】
百年前に大渦に飲まれた隣国の廃船にてアルフレドが発見した。
やっぱり彼は蝶を出して遊んだ。
彼が発見した際に、まるで何かに反応するかのように強い光を放ったところを見ると、恐らく人を選ぶ性質があるのかもしれない。実際になんの条件で光ったのかは謎。

◆魔女族のランタン
光源を吸収し、光を灯す。
保有者】魔女族→隣国により略奪される→アルフレド→コローディの質屋「老羊屋」で買取り
【詳細】
百年前に大渦に飲まれた隣国の廃船にてアルフレドが発見した。

◆聖剣カリバーン
全てのSPELLの源。あらゆるSPELLを生み出すことができる。
保有者】剣の王国歴代王
【詳細】
「王の資質」を見抜く力がある。それは初代王による施しなのか、剣自体の能力なのかは不明。
【謎】
初代王カンブリアが携えていたとされるが、それ以前はどこでどのように誕生した剣なのかが気になる。
◆オルゴール
埋め込まれた宝石に触れると音がなる。
保有者】コローディの質屋「老羊屋」の商品

◆多段式聯宿剣(トランス・オービット)
いくつか形態を変える剣。おそらく剣自体の質量も変わる。
保有者】オズ・ワーロック
【詳細】
剣の柄の部分が、深海のような宇宙のような球体になっている。
トランス=変性
オービット=軌道
聯宿=ググったら「連合場所」という翻訳結果が出てきた。
「聯」は連なるという意味と対になるという意味があるらしい。

◆遠くを映し出す水晶
遠くの景色を映し出す。
保有者】アンナ→不明
【モチーフ】オズの魔法使い>西の悪い魔女

◆自然物質を生やす輪っか
何種類かの色付きの輪っかがあり、それぞれ対応した物質を出現させる。
保有者】マーリン
【詳細】
今のところ青→水、黄色→炎、赤、緑がある。
マーリンは今のところ手の形で出現させて、便利な手として利用しているが、そのためだけのアイテムだとは到底思えない。

SPELLに関するあれこれ

作中でチラホラ説明はされているのだけど、実はまだ謎の多いSPELLのあれこれ。

特殊SPELL

力の複製が可能な一般SPELLに対して、特殊SPELLは複製不可。故に宿る物体と力が切り離せない。唯一無二。
以下、作中で特殊SPELLだと判明しているもの。

  • 五部族のSPELLアイテム(金時計、銀の靴、竜牙の笛、真実の斧、月繭絹の絨毯)
  • いるか座の羅針盤(ネレイド・コンパス)
  • 魔女族の羽根ペンとSPELLインク

もしかしてチョークもそうなのかな。

SPELLの複製

上の図から考えると、複製=遺伝継承の事を言うんですかね。
じゃあ血縁関係にない相手に複製ってのは出来ない……のかな。
多分誰にでも複製出来るのなら、「切り離し」という方法の意味があまりないですよね。

SPELLの分割

これは10話で描かれてます。
ルフレドが、まとまった束の紐のSPELLを、ドロテーアに渡しています。
これがいわゆる「分割」という状態なんじゃないかと。
ピグマイオイの親子が言っていた「貸してた」という状態もこれのことかなーと。
でもあれ、一定時間で消えてしまうとか、そういう制限がありそう。

SPELLの譲渡(切り離し)

フギンとムニンに渡されたジルコニアのSPELLは、この「切り離し」です。
物として扱えるようにする方法です。
パンチネロの「SPELLを渡さなければまだ国王軍と戦えたのに」という趣旨のセリフから、切り離しを行うと、元の持ち主からは力がなくなるということがわかります。
ピグマイオイのお父さんが正式に譲渡したのはこの方法ですね多分。
しかしこの、一度瓶に定着させたSPELLを譲渡された側が使えるようになるにはどういう手順が必要なのか。
瓶の中身を飲む? 不思議の国のアリス? drink me?

封印瓶(シールグラス)

SPELLをモノとして扱う方法として、瓶に封印するという方法がある。
瓶の素材は領邦バルカンで採掘される翡水晶(ひすいしょう)。
詳細は不明だが、術者からSPELLを取り出し、この封印瓶に定着させる。
瓶が破損すると、中のSPELLが消滅する。
ジルコニアのSPELLを封じていた瓶もこれだったわけですね。

SPELLと数式

43話より抜粋。
「SPELL学者プロップによると、全てのSPELLは数式で現す事が出来る。数式に用いる数字は特別な概念規定が……」
44話より抜粋
「魔女数学の応用……」

具現化数式

◆具現化数式とは
その昔、魔女族によって考案された、高等SPELL。
術者を取り巻く自然環境に存在する粒子を、SPELLの粒子に置換する技術。
置換されたSPELL粒子は、SPELLを発動するためのリソースとして使うことができる。

◆専用アイテム
具現化数式を使ってSPELLを発動させるには、SPELLチョークや、魔女族の羽ペンのように、特別な筆記用具が必要。
これらのアイテムで具現化数式を記述する事で、SPELLが発動する。

◆具現化数式に必要な情報
具現化数式には、引数として、SPELL粒子の情報と、発動地点の正確な座標を記述する必要がある。
したがって術者は、膨大なSPELL粒子の知識を記憶しておく必要がある。
座標に関しては、緯度とか経緯なのかもしれないけど、術者からの距離というように相対的な距離でも代入可能らしい。

◆つまり
使い手を選ぶ。

◆具現化数式には悪魔が潜む
ジルコニアはこのようにアルフレドに警告していました。
「SPELLには」ではなく、「具現化数式には」ってのが一つポイントかなって思います。

【剣の王国】小ネタ・仕込み#コローディの章③

【目次】

ボンバイエサーカス:あの夫婦

118篇のコメント欄で、94篇に出てきた夫婦について考察が行われていました。
ボンバイエサーカスの奴隷はみなボロ服を着せられていたのですが、彼らは普通の服装をしていました。(確かに!)なのであの夫婦は元々サーカスの奴隷ではなく、イレギュラー的に会場に立ち入ったか、あるいは引きづり出されたか。このサーカスに対しても「狂ってる」という感覚の持ち主でしたが、遠くから来た旅行者ならあるいは何も知らずにサーカスを見に来て違和感を覚える人もいそうですよね。
その後のグリスの「困った子ね」発言と、リグワールの「いつものことだ」発言はそういう背景だったのかもしれません。

ボンバイエサーカスの観客

モブも結構な濃度でキャラ立ってますよね。なんだろうこの、タツノコプロちっくな犬。



観客が手にしていたビールとポップコーン。売店があるんだろうなあ。

売店じゃなくて売り子さんだった。いや売店もあるかもしれないけど。

売店じゃなくて、露店だった。(115篇を読み返していたら、ちゃんと描いてあった)

123篇、ジョン・レインの元ネタ

123篇「フランダーシルの忠犬」の扉絵。
ジョンが花輪をかけられていますが、アニメ「フランダースの犬」の1話目にも似たような花輪が出てきました。
ポピーかな。原作だとポピーと青い矢車草(poppies and blue corn-flowers)が咲く野原が出てきます。
画像元:フランダースの犬 第1話「少年ネロ」 - YouTube
(念のため書きますけど公式配信動画です)

131篇~ドロテーアの変身と鎧

◆開花モチーフ
剣を収めるやつに蕾が描かれていますね。
話の流れ的にも「開花」のイメージを持たせている気がします。

ドロテーアの鎧化って、
39篇の扉絵で
既に暗示されてたんですね。

◆白と黒
アルフレドの黒騎(クライトン)シリーズに対して、ドロテーアは白い鎧ですね。
黒騎士と白騎士、天使と悪魔、昼と夜、月と太陽、132篇的に言えば梟と鷹

◆鎧のモチーフ
鎧の所々に花のマークのようなものがあります。四枚のものと三枚のものがありますね。この数字で思い出すのがクローバーだったりするんですが。

  • 三つ葉のクローバー:「私を思い出して」「約束」「復讐」
  • 四つ葉のクローバー:「私のものになって」「幸福」

うーん、アルフレドの思惑を考えるとそれっぽいから困る。

このブーツのデザインもなんだか意図的なものを感じます。花(?)の上の緑の葉をクロスさせているような。羽ばたく鳥の形にも見えるし。

135篇、二番目の魔女と使い魔?

135篇のコメント欄では、二番目の魔女の側にいた銀色の狼=ジルコニア説が囁かれていました。
もしそういう設定があるのだとすれば、この回のタイトル「Where are you?」は81篇回想のジルコニアのセリフにも掛かっているかもしれませんね。
「アルー、どこにいるのー」です。放っておくと、危険な理論にまで手を出そうとするアルフレドを諭すという内容でした。そして狼となった今、二番目の魔女経由で弟子の様子がわかり、こんなことを思う。「ああ……あの子、具現化数式を使ったのね。あんなに言ったのに……」
まあ考えすぎかもしれませんが。

138篇、顔がパンチネロ

いつだったかパンチネロを顔にくっつけてアルフレドもサーカスに乱入すれば良い、みたいなコメントが書かれてて、先生はこのコメント拾ったんですね多分。

141篇~喰獣族(ノール)言語

ノールが使っていた文字。14種類の文字型と90度づつ回転して使われているパターン。これは先生の創作文字なのかな。根気がなくて調べきれなかった。
世界の文字

143篇、意味深な背景模様

サーカスで孤独に戦っていた時と二人で共闘している時の対比シーンです。この模様、50篇の玉座(謁見の間?)の背景にも使われていました。線対称図形で四つの頂点。東西南北を表してるとか?
50篇の模様。

大きいバージョン
そのあとに続くドロテーアの背景にも色々重なってます。線対称模様の上に碧色の円状の何か。その上の白い図も意味ありげ。

登場キャラクター(コローディ編③)

  • 座長チャールズ・ボンバイエ、リグワール・クラウン、グリス・テイマー
  • ツインズ、副座長ピノキオ
  • 処刑ゴリラ、ダン(ダニエル・エルガー)、サーカスの猛獣
  • 竜魂となった竜、ブランコ乗りの少女、ブランコ乗りのナンパ男
  • ジョンに殴られた人、ジョンを殴った人、ユリを引っ張った人
  • エテ族、金的を食らった人、ヒザン
  • ジョン・レイン、ユリ・レイン、サーカスの奴隷
  • サーカスの奴隷たち、メージ・グリフォン主幹
  • 二番目の魔女、二番目の魔女の使い魔(?)、マーリン・フォルカス
  • オグ・ユーフラテス、女王の相談役らしき妖精の老婆、女王/一番目の魔女
  • 青竜(セロ)、一角馬(ユニコーン)、喰獣族(ノール)
  • 草原の妖精、白郭公(ソフィア・バード)


next:[製作中]

【剣の王国】難解表現まとめ

難解表現を集めました。
できる限り解読してみたいと思います。


【目次】

91話、イエンシェン記の引用

91話では、モコ婆が、「イエンシェン記」という叙事詩からある賢者の言葉を引用し、アルフレドが同じ賢者の言葉をもって応戦(?)していました。

◆先に「叙事詩」の説明

  • 叙=順番に述べる。
  • 事=出来事。
  • 詩=叙事詩における詩というのは、「韻文」の形式をとる。
  • 韻文=一定のリズムを持ち、形式の決められた詩。和歌や俳句など。
  • 内容は主に、英雄伝や歴史的出来事。
  • 叙事詩の構成は、①物語の途中から書き始め、②発端を回想し、③結末と、未来の予言で終わらせる、という特徴がある。

◆モコ婆の引用

かなしみや怒り
すなわち苦痛は
リリアナかわの如し
止めもなく流れ
大海たいかい
復復またまたすくい上げることあたわず
人の世もまたしか
《イエンシェン記叙事詩 第34節》

怒りや哀しみ
つまり苦痛というのは
リリアナ河のように
止め処もなく流れ
海へと帰り
二度とすくい上げることはできない
人の世もこれと同じ

【解釈】
これは、モコ婆の「お前さん、王都エメラルドで馬鹿やったら死ぬよ」という台詞の後なので、なんとなく言いたい事がわかります。
人を苦しめる感情も、川のように流れ、いつしか忘れるもの。
だから今の感情に囚われず、馬鹿なことはよせ――って感じですね。

アルフレドの返し

『王よ、我は千夏せんかを越えし大樹の根、星降る上層でつぼみたちの叛乱はんらんを夢想する。これ我の希求ききゅうせし物語。』
《イエンシェン記叙事詩 第245節》

王よ、私はもう老い先短い、後は天国から若い人らが叛乱するのを夢見ることにするよ。これが私の最後の願い。

【解釈】
自分の事を、「千夏を越えし大樹の根」と例えていますが、木というのは、枝の先へ行くほど若く、根に近いほど古いですよね。
それと、叙事詩の構成で言うと、34節が①で、245節はもう③っぽい内容ですよね。
この賢者は34節で反乱を起こす事を諦め、しかし死期が近づくと、その事をとても後悔してしまったんですね。「希求せし」って言葉がその後悔の強さを表しているように感じます。

91話、ジルコニアの遺訓

破鏡、重ねて照らし、落花、枝に上る可し

【元ネタ】

落花枝に返らず、破鏡再び照らさず
一度落ちた花は、もう枝には戻らない。一度割れた鏡は、もう照らすことはできない。転じて、壊れたものや、死んでしまった人は、二度と元には戻らない。
別れた夫婦の例えとされていますが、元々は禅修行における迷いと悟りについての例え。

参考:No.2065【破鏡不照】ハキョウフショウ |今日の四字熟語・故事成語|福島みんなのNEWS - 福島ニュース 福島情報 イベント情報 企業・店舗情報 インタビュー記事
つまり、破鏡=修行中迷いが生じたものは、二度と戻らない=常に迷ってしまうということ。
逆に言えば、修行を脱し、悟りを開いたものは、二度と迷うことはない。

【解釈】
つまりジルコニアが言いたいのはこの「逆に言えば」かなって思うんですけど。
どうかな。違ったりして。
(92話を読んでから追記)
やっぱり違うっぽいです。
この言葉の前後を見るとなんとなく言いたいことがわかってきます。
「破鏡~」の台詞の後、彼女はこの国の災いを予見し、そしてモコに絶対に生き抜いて欲しいという旨を伝えます。
なのでこの言葉の真意は、
「どんな逆境が訪れても、諦める必要はない」
こんな感じの響きに聞こえてきます。

因みにこの諺は英語だと「What is lost is lost.」なんだそうです。
92話のタイトルはこれを踏襲してるんですね。

109話、二番目の魔女による情念の考察

すべての出来事には理由がある
かかる命題は
本質的に形而上学的概念であるが
相関関係が因果性を含意する場合に於いてのみ
自身の行動に対する安寧たりる。
それはまさ
メタ認知とアレキシサイミアの狭間でもがき続ける我々の姿そのものである。
────二番目の魔女著『情念に関する帰納的考察』より

【用語】

命題(めいだい)
真か偽を問うことができる文章。
例えば、「ドロテーアはドワーフである」という文は、嘘か本当かを問える文なので命題といえます。「ブーメレンに行きたい」は願望文であり、真偽を問える文ではないので命題ではないですね。
形而上学的概念(けいじじょうがくてきがいねん)
形而上=形のないもの、五感で捉えることができないもの、精神、観念、思考。形而上学=それらの本質を捉えようとする学問ないし哲学。神、世界、存在、霊魂などが主なテーマ。(とりあえずは「哲学」のことだと認識しても大丈夫そう)。
形而上学的概念の例】
例えばこの世界には「因果応報」という考え方がありますが、本当に「因果」が「応報」してるか、本当にそんな原理が働いているかどうかなんてほぼほぼ確かめようがないですよね。それを追求しようとするのだから、二番目の魔女は、「すべての出来事には理由がある」に対して命題をかけるのは、形而上学的概念だと言ってるんですね、多分。
相関関係(そうかんかんけい)
一方が変わればもう一方も変わるという関係。
因果性(いんがせい)
原因と結果に繋がりがある関係性。あるいは「何事にも原因があるとする原理」。
含意(がんい)
任意の命題pとqについて、pが真であれば常にqも真であるとき、pはqを含意するという。
※「相関関係は因果関係を含意しない」という語句は、科学や統計学で使われるものだそうです。(wikipedia:相関関係と因果関係)
※例えば、「①ドロテーアが酷い目にあう、②パンチネロが怒る」という二つの事象が、ともによく起こるというデータがあったとして、旅を重ねた彼らには信頼関係(特にパンチネロはドロテーアを大事に思っている)という因子があるので、①が原因で②の結果を招くことには因果関係が「ある」と言えます。逆に、彼らがまだ出会う前ならどうでしょう。
同じタイミングで①と②が起こったとしても、それは単なる偶然です。これは因果関係が「ない」と言えます。
もう一つ、ちょっとメタい言いかたをすれば、①と②には、「そういう設定だから」という共通の原因がありますが、この場合でも「①→②は因果関係を含意しない」となります。
安寧(あんねい)
無事で安らかなこと。
メタ認知(メタにんち)
自分自身の思考や行動を客観的な視点から認識すること。
アレキシサイミア
「失感情症」という日本語に訳されているそうですが、正確には感情を失っているわけではなく、感情を「認識」できていない状態。厳密に言うと、「心の変化=情動」は感じてはいるが、この情動がつまり何の感情を表しているのか、よくわからない、といった状態です。この状態である人は、他者への共感が乏しく、空想力や想像力に欠ける傾向にあるそうです。
情念(じょうねん)
受動を語源に持つ。強い感情。デカルトの定義によれば、驚き、愛、憎、欲望、喜び、悲しみの六つの基本的な感情。これらの感情は本人の意思に関係なく心に湧いてくるものですよね。
帰納的(きのうてき)
個別・特殊な事例から、一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする推論の方法。いつぞやの「演繹(えんえき)」と対をなす方法。

【解読】

すべての出来事には理由がある
かどうかは
本質的に明確な答えを見出せるものではないが
理由が明確な場合においてのみ
自身の行動に対して安心を覚える。
それはまさ
自己の解釈に
悩み続ける我々の姿そのものである。

【意訳】

人が世の理(ことわり)を追求するように、人はまた己の理(ことわり)を追求する。
どうしても理由を求めてしまう。

【モデル】
読んだことはないんですが、デカルトの「情念論」がモデルですかね。
デカルトは、とある公女(文通相手)からの質問をきっかけに、「情念」の研究をすることになりましたが、二番目の魔女にも「情念」を研究する何かしらの動機があったんじゃないかと思います。
例えば彼女の姉はなぜあのように欲求に忠実な人になってしまったのか──とか。
あるいは「愛のSPELL」を解き明かすためとか。SPELLは基本的に自然環境に働きかけるものが多い気がしますが、人の精神に働きかける領域のものはなかなか特異点じゃないかなと思います。
ましてやカリバーンに選ばれた人なので、女王はああいう人なんだと周囲は思考停止しますが、身内である彼女は、女王の本質に向き合っているんじゃないかと、思う次第です。

115話、サーカス開演の冒頭

紅い風と天地に身を任せず
汝、言霊を綴りたくば
覚悟せよ

夜雨の下を舞う 羽虫の如く
また、水垢を舐める窮鼠の如き
営みを己のものにせん

願わくば汝に
慈悲深き神の慰撫のあらんことを

【用語】

紅い風
風というのは、風潮のことを言ってるんだと思います。では「紅い」が何かというと、「熱気」のことじゃないかなと思います。激しい風潮が支配する世の中では、それに逆らうのは容易ではないですよね。
天地
上と下。従って上下関係のことを言っているのかなと。剣の王国には身分制度が存在していますが、そこから抜け出すのはすなわち国民であることをやめる=奴隷、あるいは差別階級に身をやつすことになります。
汝(なんじ)
同格または目下の者を呼ぶときの、古典的な二人称。
言霊(ことだま)
言葉には、霊的な力が宿るとする考え方。良い言葉を発するといいことが起こり、不吉な言葉を発すれば悪いことが起こる。声に出した言葉によって現実の事象になんらかの影響を与えると考えられている。
営み
行い。ここでは生きるための行為や生業。
~せん
これは古い言い回しの「~せむ」が変化したもの。この「む」が表すのが意志の助動詞である場合は「~しよう」とか「~するべきだ」という意味になるが、文脈的に推量じゃないかなと思うので、「~だろう」と読み取れる。
慰撫(いぶ)
なぐさめ、いたわること。

【解読】

世間の風潮や、社会から抜け出し
世の中を変えようと意見を主張するなら
覚悟が必要だ

暗く冷たい夜雨の下を舞う羽虫のように(家がないとも解釈できる)
はたまた水垢を舐める追い詰められたねずみのように(食糧にありつけないとも解釈できる)
生きるためにそういう行為をすることになる

願わくばあなたに
慈悲深き神の慰撫のあらんことを

【解釈】
世間の風潮に煽られ、決められた身分を全うし、それら身を任せているかぎり生活は保証される。しかしこの「汝」にあたる人物は世の中を変える必要があると考えたんですね。115話で言えばあの観衆の熱気はまさに「紅い風」という感じがします。
社会の思惑のために生かされるのか、志しのために自身の安寧を捨てることができるのか。

130話、アルフレドの言い回し

ドジ女アイツの選択を軽んじるな」
(選択でなく誘導だと突っ込まれる)
「俺がここに連れてきたのは要因であって原因じゃない」
「因果性の起点が外部環境の変化のみに限定されるっつー議論は」
「非合理的かつ非実在主義的」
「またそれは逆説的に」
「あの女の主体性を否定してるぜ」

【解読/解釈】
「アイツの選択を軽んじるな」とか「主体性」という言葉に挟まれているので、なんとなく言いたいことはわかります。野暮かなと思いつつ一応解読してみたいと思います。

これを読み解く前に、ドロテーアはアルフレドから、「何があっても絶対に席を立つな」と言われているので、彼女はサーカスに乱入する時に、①行くべきか、②行かざるべきか、を選択しているはずです。
ここで彼女は①を選んだことで、窮地を招くという状況を生み出しました。つまり窮地を招くルートに入ったんです。

この①と②の分岐点に来るまでに、アルフレドがサーカスに連れてきたことや、サーカスでデスゲームが行われていることや、商法典が改正されたことや、女王が即位したことや……この辺にしておきましょうか、とにかく色々な「要因」があります。(ドロテーアを中心に考えた場合はこれらが「外部環境の変化」です)
そしてドロテーアが①を選ぶ、というのも「要因」の一つに含まれます。(こっちが内部ってことになりますね。)
これら全ての「要因」は、「窮地を招く状況」を引き起こす「条件」と言ってもいいですね。
この条件のうち、①を選ぶという条件が抜け落ちてしまえば、窮地を招くことにはなりません。したがって窮地を招く「因果性の起点」は①を選択することにあります。①を選択したドロテーアの決意が主要となる要因だと、アルフレドは言っているんですね。「根本原因」と言えます。

その他の用語は
非合理的→馬鹿げた議論だ
非実在主義的→肝心の「本人」の存在を無視している
と言い換えられるかなと。

132話、アルフレドの問い

椋鳥むくどりふくろうの違いは」
「群れるか群れないか」
「では梟とたかの違いは?」
「解るよな?」

【この問いは】
一人サーカスへ飛び出し、窮地に陥ったドロテーアに対して、アルフレドから鎧化という新たな力を授かった時の問いかけでした。
この問の答えを求める場合は、ドロテーアがこれらの鳥の違いを①知っている、もしくは②知らないかどちらかにかかっているわけですが、そもそもアルフレドはクイズを出しているわけではないのは状況から言って明白です。ではアルフレドは何がしたいのかというと、アルフレドが①の前提なのか②の前提なのかで意味合いが違ってきますね。

【①ドロテーアは鳥の違いを知っている前提】
①が前提の場合は単純に梟と鷹の違いからアルフレドが言いたいことを推測します。
コメント欄ではかなりの方が考察されていたのでめちゃくちゃ参考になりました。
同じ猛禽類にして肉食、しかし生活スタイルも狩りの仕方も見事に正反対なのが面白い。

梟:夜行性、自分より小さい獲物を狙う、獲物を待つ、耳が良い、静かに狩る、非使役動物。
鷹:昼行性、自分より大きい獲物も狙う、獲物に向かう、目が良い、速度で狩る、使役動物。

梟は忍者みたいですね。確実性を優先し、自分ができる以上のことは望まない。反対に鷹のほうは、役目とあらば大きな敵にも向かって行く、まさに武士って感じでしょうか。

で、ここから何が言いたかったのかを考えてみたんですが、三つほど考えつきました。

a、ドロテーアは耳あてをつけられたことにより、聴覚を遮られた状態になります。なので「耳で聞くな、視覚で捉えろ」的なアドバイスをしたかったのかも?

b、意味もわからず鎧化されたドロテーアに対し、とりあえずの状況説明として、「俺は裏で(梟みたいに)暗躍するから、お前は(鷹みたいに)表で暴れ回れ」的なことを言いたかったのか?

c、自省を促したい→これはコメント欄でも一番支持が多かった考え方です。「群れを作る」というのは一つの生存戦略ですが、群れない鳥の場合も、個々で生きていくためには各々の戦略が必要になります。ドロテーアのように集団(群れ)から飛び出し、相手が弱いうちはいいが、いざ自分を上回る敵が出てきた場合――その場合の戦略がお前にはなかったんだ、的なことが言いたかったんでしょうか。戦略(俺)が必要だぞと。
なんだか、わざわざ問いかけの形式にしてるってのは、ドロテーアに考えて欲しくて(考える余地を与えて)、考えた上で、つまりどんな道なのか理解した上で、自分に着いてきてほしいって思ってるような(鷹=相棒になってほしい)。だとすればアルフレドを信じたいと言ったドロテーアへのアンサーになってますね多分。この回りくどさ is アルフレドって感じもしますが。

【②ドロテーアは鳥の違いを知らない前提】
②だった場合はかなり作為的です。まあ元々作為的なんですが。訳も分からないうちに鎧をつけられ、アルフレドの声が聞こえたかと思えばよくわからないクイズを出題し出す。しかも答えがわからないのにアルフレドは「解るよな?」と念押ししてくる。混乱しますよねこんなの。132話のドロテーアの反応を見る限り、②の可能性も結構あるんじゃないかと思います。

この場合、アルフレドのやりたいことは、クイズの出題でも、メッセージを伝えることでもなく、混乱させること自体が目的です。
あの切羽詰まった状況で仄めかしい問いかけをして、ドロテーアの思考を奪ってしまったんですね。余計なことを考えないようにしてしまうということです。

そもそも「銀の靴」を封じたのも、「席を立つな」も、ドロテーアを窮地に追いやるための布石としか思えないんですよね。
そしていざ窮地に追いやると、助け舟を出し、思考を奪い……この状況になった人間ってのは、助けてくれた人の言うことに従いやすくなります。それはもう生まれて初めて見た生き物を親だと錯覚するかのごとく。
あの耳あてをしている状態ってのも、アルフレドの声しか聞こえない世界で、「俺の指示にのみ従え」ってのを如実に表しているような。(まあ衝撃から耳を守る意味もあるでしょうが)

【③その他】
あるいは全部の意味を込めて「鷹になれ」?
いずれにしろアルフレドの思い通りで、もうほんと、このセリフ一つに集約しちゃうyoruhashi先生 is 鬼才!

135話、二番目の魔女の予見

「リスクは」
「付加価値マイナス蓋然性がいぜんせい
「少女が無価値なのか確信に満ちた手段なのか、その両方か」
「いずれにしても――」
「妹よ」
「あなたのかわいいお弟子さんには」
「少し失望しそうね」

【用語】

付加価値
ある商品やサービスに新たに付け加えられた、他にはない独自の価値。
蓋然性(蓋然性)
まず、
必然=100%その事象が起こる。
蓋然=ある程度の見込みでその事象が起こる。
偶然=思いがけずその事象が起こる。
必然と偶然はほぼ0か1かで認識できますが、蓋然には、その度合いによって「蓋然性が高い」とか「蓋然性が低い」という表現が必要になります。

【解読】
「リスク=付加価値−蓋然性」ということは
「付加価値=蓋然性+リスク」ってことですよね。

つまり、新たな価値を付加することは、「期待できる見込み」の他に、「リスク」も存在するってことなのかな。
だとすると、

付加価値→新しくアルフレドがやろうとしていること
蓋然性→アルフレドが見込んでいること、目論見
リスク→目論見以外に発生する事象、すなわち目論見が外れた時に発生すること

【解釈】
で、リスクを割り出した結果、「少女が無価値」としか思えないような結果が出ているってことですよね。リスクが大きいと。リスクが大きい手段を取ろうとしてる=万が一の場合、ドロテーアを失っても惜しくない。
この話、二番目の魔女が「仮死状態」を想定してる場合、結構しっくりくるなと思います。
リスク=失敗すれば言葉通り命取りになりかねない手段です。なので、万が一死んでも惜しくない=無価値、あるいは絶対そんなことにならない確信があるのかと、言ってるんですね。

【剣の王国】具現化数式まとめ

具現化数式の筆記シーンを集めました。
検証してみたい方はどうぞ。

[2019.02.23] ドロテーアの鎧追加
[2019.02.19] 具現化数式毎に変更、光の蝶の群れ内容追加

【目次】

SPELLの具現化の基本的な流れ


①周囲にある粒子をSPELL粒子に置換する

②必要な情報(発動地点の座標、使用するSPELL粒子)を数式に代入する

③具現化

参考になりそうなやつ

具現化数式一覧

光る蝶の群れ

作中では、トレードマークかってぐらいよく出しています。
ジルコニアの章:44話、SPELLチョークを見つけて

◆怪物鯨の章:53話、羽根ペンを見つけた時

 この部屋の空気中の自然粒子から、変換可能なSPELL粒子……。
 いくつかあるが、取りあえず光彩系ネオンツールにするか。
 発動地点として此処の座標が必要だが、これは俺からの距離で代用できる。
 これらを数式化して演繹えんえきすると、


書き始め


書き終わり

  • 【左辺】?yz=√?
  • 【分子】√Pl?clm
  • 【分母】El?

◆コローディの章:131話、ドロテーアの鎧化の時

怪物鯨の章と同じ式ですね。

黒騎の鐡脚(クライトン・グランデ)

◆怪物鯨の章:71話、ドロテーアが怨霊に食べられそうになった時

 対象との直線上におけるゲミ炭素の取りうる値域を逆像法で求め
 これα定理に従いSPELL粒子値域に変換
 これを素因数分解
 不純物を除いたのち
 構成物にFe203を添加し
 精製された高炭素鋼イカーボンSPELLを
 術者の脚にゼロ距離結合
 従って解は……

コメント欄を頼りに理解した事は、「高純度ゲミ炭素+鉄=高炭素鋼」という事です。
高炭素鋼を精製するためにアルフレドがなんやかんややってたという事ですね。

【用語】

ゲミ炭素
オリジナル。ゲミって何ですかね。
値域
(勉強中)
逆像法
(勉強中)
α定理
オリジナル。おそらくSPELL粒子に置換するための定理。(魔女数学)
素因数分解
素数(=割り切れない数)まで分解して表す方法。
Fe203
オリジナル。Fe2O3(酸化鉄)とは別のものですよね多分。

【なぜ素因数分解が出て来るのか】
なぜ素因数分解が出てきたのか考えてみました。

素因数分解というのは例えば「18」なら「2×3^2」という形で表します。
しかし、アルフレドが扱っているのは物質のはずです。
物質というのは分解して行くと元素という単位になりますね。「水」なら「H2O」という形で表せます。
これっていうのは、元素のことをアルファベットで表現しているからですよね。水素ならH、酸素ならO。

例えばこれを、素数(2、3、5、7、11……)で表すとしたらどうでしょう。
水素なら2、ヘリウムなら3、リチウムなら5……みたいな。(実際こうなのかは知りませんが)
これなら数式で扱えてしまいますね。
多分、SPELL粒子に置換するってそういうことなのかなって思います。
剣の王国世界で言われている、「全てのSPELLは数式で表すことができる」の所以なんじゃないかと。それが魔女数学の特性なんですね、多分。多分ですよ多分。

【筆記シーン】

◆コローディの章:103話、オズとの対戦の時

 ──ゲミ炭素からSPELL粒子への擬似変換
 ──および値域ちいきの数値化
 ──素因数分解のちに高炭素鋼こうたんそこうへの過程を計算
 ──必要化学物質の添加
 ──次元数式による生成物を最短5.0秒のLTリードタイムに略式化……

ほぼ71話とやっていることは変わりませんが、最後だけ何やら……。
【用語】

次元数式
ちょっとわからなかった。けど、文脈からすると、用意した素材(高炭素鋼と必要化学物質)を使って実際の生成物として、三次元上に出現させるための式(工程)ですかね。
LT(リードタイム)
ビジネス用語。作業の着手から終了までにかかる時間のこと。

【要約】
通常のクライトン・グランデ生成にかかる時間を5秒に短縮。

【一応筆記シーン】

黒騎の鐡腕(クライトン・フィンディア)

◆怪物鯨の章:81話、鯨の口が閉じてしまった時

「ちょっとこれ弦理論的魔女数学書じゃない!」

 まず標準理論の公式を使用し、俺を取り巻く自然環境をすべて数式化
 さらに量子エンタングルメントで自然元素を異次元上のSPELL元素に置換し
 これを充填率74%の面心立方格子の結晶構造を持つγ鉄元素SPELLの構成式に書き換える。
 結晶の隙間に珪素を含む17成分のSPELL元素を加え、焼鈍、それに伴う構成物の再結晶化及びパーライト加工を数式でフォロー
 精製された極硬鋼に具現化に伴う熱エネルギーを利用した噴流原動機(ジェットエンジン)を搭載
 これらを全て右腕に結合

 変位を微分した速度・加速度でシミュレート
 撃力はおよそ1.2MN(メガニュートン)

【要約】
①γ鉄元素 +ケイ素=硬い鋼
② ①を熱処理して靱性を上げる
ジェットエンジンを搭載する

【理論と方程式のモデル】
弦理論、標準理論、量子エンタングルメント→量子力学

↓標準理論の数式
画像元:
解説:NHKスペシャル「神の数式」第1回:この世は何からできているのか - とね日記
(「神の数式」と言われている数式を、「悪魔の数式」として引用してるのが面白いです)

【用語】
(殆ど勉強中)

弦理論
ひも理論とも言う。
標準理論
標準模型とも言う。
量子エンタングルメント
量子のもつれとも言う。
充填率
面心立方格子
γ鉄元素(ガンマてつげんそ)
珪素(けいそ)を含む17成分
焼鈍(しょうどん)
熱処理の一種。割れにくい金属にする。
パーライト加工
極硬鋼

【筆記シーン】

アルフレドは基本右手で書いてますが、この時だけは左手で書いていました。クライトン・フィンディアは右手に装備するからですかね。

ドロテーアの鎧

◆コローディの章
【132話、鎧精製時のモノローグ】

 標準理論をベースに自然環境を数値化
 SPELL元素に置換――
 充填率じゅうてんりつ85%の面心立方格子めんしんりっぽうこうしγガンマ鉄元素の構成式に書き換え
 焼鈍しょうどん、構成物の再結晶化、パーライト加工を数式でフォロー
 高炭素鋼こうたんそこうの鎧を精製
 さらに高分子量PEを粒化りゅうかさせ、筋組織に同期することで鋼鉄比こうてつひ62%の引張強度ひっぱりきょうどにて肉体を補強する

【133話、ドロテーアへの説明】

『形状維持時間は1分だが、その間お前は自由だ。鎧に内蔵した変圧装置による可動速度は最大250m/秒――亜音速の領域だ。移動時の摩擦抗力による身体の分解や鼓膜の破損はない。お前の構成成分に対し、一律的に高分子PE硬性こうせいを同期しているからな』

【要約】

  • 高炭素鋼を精製
  • 強度のある粒子で体表面にバリアを張る。(「補強」と言っているので筋肉サポーター的な役割もするのかな?)

【用語】

鋼鉄比
調べたんですがこういう単語はなかったです。なので、文脈からすると、鋼鉄素材の引張強度と比べて62%程度の引張強度を実現してるって意味でしょうか。
引張強度
素材に対して引張荷重をかけた時、どのくらいの力で破損するかの目安のこと。ここでの引張荷重は、つまり引っ張る力のこと。

【充填率85%の謎】
球充填におけるもっとも稠密な充填率は74%だと言われています。(wikipedia:ケプラー予想)
ですが85%というのはそれを越える数値ですね。
コメント欄で指摘されていたので、気になって調べてみました。

結晶が1種類の原子からできている場合、いちばん密な配置の充填率はおよそ0.74となることが数学的に示されているが、実際には原子間に働く要因でこの値を越えることがある。複数の原子から成る構造では、充填率が0.74を越えることもある。
(wikipedia:空間充填率より)

結晶が1種類の原子からできている=純度100%の元素ってことですね。鉄で言うなら純鉄。つまり純度100%で計算した場合が74%なのであって、そうでない場合はこの数値を越えることがあると。
他の元素が混じったγ鉄のことをオーステナイトと言うそうです。(wikipedia:オーステナイト)
アルフレドはこれを作り出してるんですね多分。
アルフレドは回を重ねるごとに作業工程を効率化させているようですね。鯨の中では純鉄に書き換えてから他の物質を添加していましたが、今回は初っ端からオーステナイトに書き換えて精製しています。

【筆記シーン】
もはや解読できないけど一応貼っておきます。

その他の具現化数式

ジャスミンの花畑(ジルコニアの章:46話)

【prism=数学用語で「角柱」】
多分あの部屋(四角柱)の情報を数式に与える必要があったんですかね。

【下の魔法陣(I P O S)】
何だろう、東西南北的な?
配置の指定?

◆血液の置換(ジルコニアの章:46話)

◆早く治るSPELL(怪物鯨の章:56話)


書き始め


書き終わり

  • 【左辺】h2=
  • 【分子】2√q
  • 【分母】H?

【剣の王国】まとめ回のまとめ

剣の王国では、本編の合間にまとめ回が公開されています。
本編では分からなかったことが判明したりするので、まとめていこうと思います。

【目次】

登場人物に関する設定

まとめ回で名前や設定が判明した人たちのまとめ。

◆2014.06.19公開「Story Outline(アトラントの章)」より
【舟守の部族の3人組】

  • スキンヘッド→トリンキュロス
  • 頭に鳥を飼っている→ステファン
  • 水色の唇→キャリバー

◆ 2015.05.07「【休載】10分でわかる剣の王国」より

  • ズム-ドードー→参事補
  • 兵士の内訳(一般兵、海兵、城内兵)

◆ 2016.10.13「番外編+お知らせ+まとめ回(コローディの章)」より
【金冠の戦闘員の二人】

  • 赤いバンダナ→チェケ・ラリスト
  • キャスケット帽の犬→ケイ-ワン
    (もしかして「・」と「-」は明確に分けている?)

【その他】

  • ダッカー隊長は「獣人」
  • バネッサ副官は「エルフ族」
  • いつもコローディ領主の隣にいた緑服の人は秘書

【ボンバイエサーカス】

  • ツインズの正しいあだ名は「おじさんツインズ」
  • 空中ブランコ乗りの女の子は「獣人」(猫の? 名前は「???」となっている)
  • ダンはロリコン

【その他2】

設定や世界観など

まとめ回で判明、または明文化された事実。

◆2016.06.14「Story Outline(~コローディの章)その他」

  • 女王の政策で、軍事関連部門にSPELL所有者が集中している。
  • 五部族のSPELLアイテムの他に、ネレイド・コンパス、魔女族のランタン、魔女族の羽根ペン・インクが特殊SPELLだと判明
  • (伝説によれば)全てのSPELLはカリバーンより生み出されたとされている。
  • 王剣信仰は国教となっている。
  • 魔女族は数百年の寿命を持つ種族

◆ 2016.10.13「番外編+お知らせ+まとめ回(コローディの章)」より
【五部族の現状】

  • 竜飼いの部族:戦争敗北後、8年の抵抗を続けるも全滅。「竜牙の笛」は現在アルフレドが所持。
  • 金細工師の部族:17年前に部族長が戦死。息子のオズが反政府組織「金冠」を結成。「金時計」は王国に奪われている。
  • 銀細工師の部族:部族長が王都に連行され、娘のドロテーアが「銀の靴」を継承。
  • 蚕飼いの部族:17年前に壊滅。部族長と絨毯のSPELLは行方不明。
  • 森番の部族:17年前に壊滅。部族長は行方不明。

【王国機関の組織図】

【王国機関の階級】

  • 女王
  • ジョーカー
  • 上席主幹……ビーコート編に出てきた金製マスクをしていた人
  • 主幹……メージ-グリフォン
  • 参事
  • 主査……メイベル-ラークシュプール(貢納金引き上げを伝えにきた人)
  • 参事補……ズム-ドードー
  • 部隊長・艦長(軍のみ)
    • 部隊長……ビーコート編で顔にバッテンを貼っていた女性兵士、メージ-グリフォンもかつては部隊長でしたね。
    • 艦長……ゴードン・クロスヘッドダイ
  • 兵士
  • 泥偶人形(ゴーレム)……ビーコート、黒髪坊主

各まとめ回の内容

◆2014.06.19「Story Outline(アトラントの章)」

  • 世界観の説明
  • 舞台設定(円卓の五部族、都市の紹介)
  • 登場人物(アルフレド一行、王国側、アトラント編、その他)
  • 予備解説(アルフレドとドロテーアの衣装や装備の説明)

◆2014.10.30「3分で分かる剣の王国」
まだ読んでない読者のために作られた紹介用まとめ

  • 物語の背景
  • キャラクター紹介
  • これまでのお話(~死の海流の章でジョーカーが登場したところまで)
  • 作者挨拶

◆2015.03.05「番外編&Story Outline(~怪物鯨の章)」

  • 番外編「剣の王国」
  • 物語概要(各章の簡単なまとめ)

◆2015.05.07「【休載】10分でわかる剣の王国」

  • 物語概要
  • 王国の版図図
  • あらすじ(18年前の女王即位から時系列で紹介)
  • キャラクター紹介-コローディの章
  • おまけ(作品サムネイルの変遷)

◆2015.10.22「告知絵集」

  • これまでの告知絵
  • 第1篇リメイク冒頭
  • おまけ(各章のまとめ)
  • ※背景が設定資料になっていました。

◆2016.06.14「Story Outline(~コローディの章)その他」

  • STORY OUTLINE(各章の簡単なまとめ)
  • メインキャラ紹介(アルフレド一行)
  • SPELL(SPELLの説明、王剣とSPELL、魔女とSPELL)
  • ボツエピソード(85.5話「コローディに向かう船上にて」)

◆2016.10.13「番外編+お知らせ+まとめ回(コローディの章)」

  • 番外編(「服選んでやるよ」の回)
  • お知らせ(LINE着せ替えのお知らせ。前回の「剣の学校」には登場しなかったオズとケイ-ワンが登場)
  • キャラクター紹介
  • 五部族の生存情報
  • 王国機関の組織構成

設定資料

  • 「Story Outline(アトラントの章)」の設定資料(アルフレド、ドロテーア)
  • 「告知絵集」の背景が設定資料になっていたので繋げてみました。※色を調整しています。(アルフレド、ドロテーア、パンチネロ)
    アルフレドのフードには「Dragons egg」と書かれています。あの卵って、なんであそこに入りたがるのか。なんだか、箱に入りたがる猫みたい。
  • 第132篇のおまけ(コローディの登場人物の設定画)

その他のスクリーンショット


ドロテーアのコスプレが見事に信号色なのすごいな。