剣の王国まとめ

comicoで連載中の漫画「剣の王国」のまとめです。作品振り返りにどうぞ。

剣の王国「第72篇 憎しみを食んで生きて行く」まとめ

 アルフレドに反撃され、岸壁に頭をぶつける怨霊。
 アルフレドの滞空時間はまだ続いている。
「水面まであと9秒、衝撃に備えろよ、ドジ女」
 ドロテーアは急に、ズキンとした痛みに襲われる。
「ちょっと待ってアルフレド
 何だか大きな声を出す。
「やっぱり私、今、降ろしてほしいの。下は水だし気合でなんとか……あ、真顔で引かないで」
「いや、この高度は気合の問題じゃないだろ、死ぬだろ」
「でも……あの……」
「いいから掴まってろよ、落とさないから」
「そうじゃなくて!」
 ぎゅっと手を握りしめ、強い意志表示を示す。
「要らないなら降ろしてほしいの」
 彼女は真剣な表情だ。
「これ以上あなたの負担になりたくない」
 これは、彼からしたら思いもよらない言葉であるがしかし、彼女がなぜこんなことを言うのか、アルフレドには思い当たりがありすぎる。「不要だ」と言ってしまったのは、紛れもなく彼自身。
「……お、お前が死んだら(計画が)狂うんだよ!」
 これは、彼女からしたら思いもよらない言葉であるがやはり、彼がなぜこんなことを言うのか、ドロテーアには思い当たりがなさすぎる。
「ちょちょちょっとまままて待って下さい」
 おろろ。
「急にそんな事言われましても」
 ……狂っちゃうのあなた、私がいなくなったら
 桜咲く、彼の想いが、こそばゆい。
「オイ」
 突如、怨霊の尻尾が襲いかかってくる。ドロテーアはアルフレドのシャツを掴み身をかがめる。アルフレドがとっさにガードした腕に、尻尾の衝撃が打ち付けられる。
「くっ」
 尻尾はその勢いを保ったまま、岸壁にぶつかった。
 ──やっぱりそうだ、この怨霊は尻尾での攻撃が一番速くて重い
 ──つまり、それが無効となる距離まで間合いを詰めれば

 楽勝だ

 アルフレドは水しぶきをあげ着水・・する。
「えっ、水の上を⁉︎」
 激しい水しぶきをあげながら、彼は水上を走り出す。怨霊は真っ赤な目でギョロロっと彼を捉え、尻尾で攻撃をしてくる。アルフレドは、ギリギリでそれをかわし、走りきる。
 怨霊の目が白く光り出し、更なる攻撃が飛んでくる。アルフレドは水面を蹴り上げ飛び上がり、トンと尻尾を踏み台にする。そして襲いくる攻撃をジャンプでかわし、そのままズシンと尻尾に着地し、ドドドと尻尾の上を駆け上がった。
 怨霊が尻尾を振り上げる。
アルフレド右!」
「ああ」
 襲い来たるは鬼のように赤黒い張り手。
「問題ない」
 アルフレドは片足を大きく振り上げ、迫り来る魔の手を鐡脚てっきゃくで食い止める。
「この怨霊は俺自身だ」
「え」
「俺が生んだ、奴への憎しみそのものだ」
 これは、紛れも無い、彼の胸の内・・・
 怨霊の手を退しりぞけたアルフレドは、進む。駆け上がる。
 その様子を、通路の端から見守るのはサザーランド。
「なんかスゲーことになってんぞ」
 彼の腕に抱えられたパンチネロが、卵を抱えながら、サザーランドの顔を覗く。彼は目を丸くしていた。
「大きすぎる」
 そして目を閉じる。
「あの怒りの規模は異常じゃ、一体どれほどの……」
「……いや、そんな事より」
 アルフレドは怨霊の目の前まで飛び上がった。怨霊の赤い目玉が中央に寄る。
「成仏しろとは言わない」
 そう語りかけるアルフレド
 サザーランドは危惧する。
「もし彼が旅を続けるなら、関係する人々に火の粉が降りかかる」
 アルフレドは怨霊を見据える。
「よく聞け怨霊」
「俺は」
「復讐を諦めない」

「彼の激情は」

 アルフレド鐡脚げきじょうが、怨霊の頭部に風穴をあける。

「やがて、あの娘さんをも焼き殺すだろう」

 TO BE CONTINUED...

「剣の王国」作品ページ

「食んで」=「はんで」と読むようです。
剣の王国(つるぎのおうこく) | yoruhashi - comico(コミコ) マンガ