剣の王国まとめ

comicoで連載中の漫画「剣の王国」のまとめです。作品振り返りにどうぞ。

剣の王国「第46篇 ドラゴンルージュ」まとめ

 アルフレドの想いを反芻はんすうするジルコニア。裸で髪をまとめ、まるで気持ちを改める儀式のよう。
 ──一刻も早くあの子を預けに行かなければ
 新しい服に着替える。
 ──甘い香り……?
アルフレド、やめんかそんな事……」
 ガタンッと隣の部屋から音がする。
「⁉︎」
 ジルコニアはドアを開け叱声をあげる。
「一体何やってるの⁉︎」
 しかし彼女の目に飛び込んできたのは、辺り一面に広がる花畑。若々しい緑の葉に、白く細長い花びらが六つ。光る蝶も飛んでいる。
「何コレ……⁉︎」
 壁には数式が記述され、その数式を囲むように描かれた円形の図式。
 ──具現化数式ぐげんかすうしき……⁈ こんな高度なSPELLがどうして
「まさか……」
 草の中を、何かがもこもこと移動してくる。
ジルコニア! 大変ぜよ。アルフレドが数式を突然書き出したと思ったら」
 草の中からトトが顔を出す。
「あの子が……?」
「たまげたぜよ。いつの間に大魔道事典集グラン・グリモワールを解読したのか」
 ジルコニアがブーツで畑に踏み込むと、コツンと音がし、ここが木の床の上である事を証明する。
アルフレド、どこなの」
 彼は、畑の中央でうずくまり、今その体を起こそうとしている。
 次の瞬間、彼の下からパアアアっと光が漏れ出す。そして彼の黒檀色の毛先が、徐々に赤く染まり始める。
 赤い髪の少年。赤い瞳の少年。
 彼の足元にはチョークで書かれた数式と、パラララ……とめくられる本。
「痛いってばジルコニア
 彼女はアルフレドの腕を掴み、自分の部屋へ連れて行く。
「放して」
 そして瓶に入った黒い粉を、彼の頭上にぶちまけた。
「うわっ」
 ──戻れ
 必死の形相で手をかざすジルコニア
 ──戻れ戻れ戻れ……
 しかし黒い粉で黒くなった部分も、ス……っと赤く戻って行く。
 ──やっぱりこれも具現化数式だわ。しかも永続的に髪と目を赤色に染めるため、自分の血の色を置換させてる。こんな赤髪赤目じゃ竜飼いの部族と認識されて王国軍に狙われちゃう……
「預けるのやめてくれる?」
 ちらっと彼女の顔色を覗き込む。
「アンタのせいで全部台無しよ!」
 たんこぶアゲイン。
「何でこんな事したの⁉︎」
「だって……あっ」
 バサッと落とした本から一枚の写真が出てくる。軍服を着たイザナダに肩を抱かれ、恋人のように手を添えるジルコニア。おそらくまだ、「五部族」として認められていた頃の写真。
「この写真……何でアンタが」
 イザナダと同じ赤髪赤目が、ムスーっと恥ずかしそうに顔を背ける。
「ジルの部屋でチョーク見つけた時……」

 当時、アルフレドが彼女の本棚を漁っていると、何冊か本を落としてしまい、「あっ」と声を上げる。
「やば、早く戻さなきゃ……」
 ふと開かれた本に目が行く。
ジルコニアの日記……」
 ページの下に貼られた写真。同じ軍服を着た人たちの集合写真で、その右下の方でくだんの二人が仲睦まじく写り込んでいる。
赤色人アムリントの竜飼い、イザナダ=ペンドラゴン……」

「…………俺は、どこにも行かないから」
 俯き、真剣な雰囲気を纏うアルフレド
「どんな奴より優秀な弟子になって」
 不思議な事に、彼の指先が大きくなって男らしさを帯び、何故か服の色も緑に変化し始める。
「『イザナダ』の代わりにジルコニアを守るよ」
 彼の容姿と服装がどんどんと変化して行く。
「だから俺は、今この瞬間から、アルフレド=ペンドラゴン」
 男らしく成長した彼が、じっと彼女の瞳を見つめ、訴えかける。陽の光に照らされ、彼の周囲にふわふわとした光の粒子が漂う。その姿は、彼がこの先の未来、囚われの島から第一歩を踏み出した時と重なる。
 ジルコニアは目を見張った。しかし次の瞬間には、彼は既に赤髪赤目の少年に戻っていた。
 ──気のせいか
ジルコニア?」
 トトが、畑の部屋越しに呼びかける。彼女の頭をよぎるのは壁に書かれた数式。しばし考え込んだ彼女は決断する。
「わかった」
 キョトンとするトトとアルフレド
アルフレド、SPELL教えてあげようか」
 やはり彼はキョトンとした。

 TO BE CONTINUED...

「剣の王国」作品ページ

誰もが想像した血縁関係を、こうも切り崩し、なおかつ説得力を与え、皆彼が愛しくなった瞬間。恐れ入りましたyoruhashi先生。
この赤いい色というのはやっぱり作中で一番目立つように計算されている気がします。
剣の王国(つるぎのおうこく) | yoruhashi - comico(コミコ) マンガ