剣の王国まとめ

comicoで連載中の漫画「剣の王国」のまとめです。作品振り返りにどうぞ。

剣の王国「第22篇 小休止」まとめ

 アルフレドは船の一室で目を覚ます。
 ──眠ってた? 今何時だ? ここは……
 包帯の巻かれた身体を起こす。
 ──傷は……‼︎ 止血されてる
 おでこに手を当て記憶を辿る。

 そういえば島を出た後──

「大丈夫⁉︎ ちょっと待ってて」
 バサーっと布団を敷くドロテーア。
「ほらここに横になって!」
 アルフレドは傷口を抑えながら、よろ……っと壁に寄りかかりつつ歩く。
「いい……自分でや」
「すぐ救急箱探してくるから」

 ──横になってから記憶ない……って笛……!
 ジルコニアから預かった笛。あたりを探すと、枕のすぐ横に置かれていた。いるか座の羅針盤ネレイド・コンパスも一緒だ。
 ホ……っと息をもらす。
 改めて現状確認をする。
 丸く縁取られた窓からは、三日月と星、そして黒々とした波が見える。

 夜だな……。
 月の位置からして眠っていたのは3〜4時間くらいか。
 いるか座の羅針盤ネレイド・コンパスで海流を操っているから、もうすぐ「死の海域」に入るはず。
 小さい渦が所々に……放っておいても無害だと思うけど、念のため逆巻きに海流を作って渦の流れを相殺。
 更に北へ船が進むように海流を調整。
 「死の海域」のセンターラインに入ればコンパスなしでもエメラルドの方角へ船が流れる。
 あとは大渦メイルストロームにだけ気をつけていればいい……。
 これでしばらくは問題ない。もう少し眠りたい……。

 アルフレドは枕に顔を埋め、目を閉じた。

 一方パンチネロはバスタイム
 木製の風呂桶に浸かり、気持ちよさそうに鼻歌を歌う。
 壁にはドロテーアが着ていた服が乾かされている。
 彼女は既に風呂を上がり、濡れた髪を乾かしていた。
「ふう、スッキリした。私の荷物、船に残ってて良かった……着替えがなかったらどうしようかと思ったけど。アルフレドの服も洗濯……ってすごい血!」
 洗濯桶の中で、血の染み付いた服にお湯をかける。
「エメラルドに着いたらすぐにお医者さまに傷を診てもらった方がいいわね」
 服の水分をぎゅっっと絞り出す。そして思案を巡らせる。

 船にあった救急箱に新しい包帯と消毒液が残ってるはず。
 私じゃ応急処置しかできないや……。
 少しでも良くなればいいんだけど。
 それと父さんをどうやって助け出すかも考えなくちゃ。
 アルフレドが言うように靴を渡すだけじゃ無罪にならないんだ……。
 それじゃ、こっそり牢へ入るとか……? それとも裁判で無罪になるような証拠を探す……?

 外につながる扉を開け、洗濯で汚れた水を夜の海へと流す。

 うまくやらないと失敗しちゃう。

 ドロテーアは、島でアルフレドに指摘された時のことを思い出す。

 全然だめね私。一体どうすればいいの……。

 ドロテーアは、風呂から上がったパンチネロを肩に乗せ、船のはしごを降りる。
「この船勝手に動いているけど、いるか座の羅針盤ネレイド・コンパスってアルフレドが眠ってても大丈夫なのかなあ」
 大きい棚が置かれた部屋に到着する。
「食糧庫はもう一つ下だっけ」
「ぺっぺっ、火薬臭え、俺様腹が減ったぞ」
「すぐ何か取って来るわ」
 パンチネロを置いて下の部屋に降りる。
 部屋の奥には酒樽が積まれ、反対側はキッチンになっている。
 食糧庫の棚には瓶詰めの保存食と、日持ちする食材。
「チーズ、ビスケット、塩漬けベーコン……フルーツのラム酒漬け!」
 必要なものを桶に詰めてゆく。
「ワインかビール……ワインかな。少し瓶にも入れて上に持って上がろう。アルフレドって何歳いくつなのかしら。お酒飲めるのかな」
 ワイン樽からコップへワインを注ぐ。
「アルコールをとばせばいっか」

 コンコン。
 アルフレドが眠る船室をノックする。
アルフレド、具合はどう?」
 これといった返事はない。足をはみ出し、うつ伏せで寝ている。
「……まだ寝てるわ」
「死んでんじゃねーの」
「(しーっ静かに……起きちゃう)」
 ドロテーアは小声で続ける。
「忘れてたけど、パンチさん、アルフレドに謝らなきゃだめですからね。明日はちゃんと仲直りして下さい!」
「(何っ⁉︎ なんで俺様がコイツに……)」
「(あっ、こんな所に卵ちゃん!)」
「(って聞けよ)」
 ……うるさ
 アルフレドは寝苦しそうな様子。
「私も謝らなきゃ! ごめんなさい! 私のせいで知らなくて済んだ残酷な真実を……、しかもまだ生まれてすらないのに捨て子だなんて、本当にごめんなさい」
 両手でかかげた卵に向かって謝り倒すドロテーア。
 パンチネロはアルフレドに視線を投げかけるが、彼は寝たふりを決め込む。
「あっ、お腹すいたわよね、さあ召し上がれ」
 お皿にビスケットを乗せ、チーズを切り出す。
「ウム、細かくしてくれ」
「パンチさんはブーメレンに行くのよね? 音楽隊長を目指すために」
「おう、あたぼーよ」
 細かくなった食材を突く。
 ドロテーアはアルコールランプに火をつけ、ワインを温める。
「そういやお前はなんであんな島に?」
 コトコト熱されたワインにラム酒漬けの実を落とす。
「私はエメラルドに行くために……ううん、違う。エメラルドに行って父を助けてアーカンザスに戻るため」
 ドロテーアが自身の想いを口にしはじめると、アルフレドは薄っすらと目を覚ます。
 星が輝くまあるい窓辺。アルコールランプの揺らめきに照らされ、彼女は語りはじめる。

 半月前、アーカンザス
 二人乗りの小さい馬車が、ガタガタと音を立てて、舗装されていないでこぼこな土道を進んでいた。
「とんだ田舎だな。何にもないぜ。本当に銀細工師の部族長が潜伏してるんだろうな。首都からわざわざ来てるんだぞ、こっちはよお」
 赤茶色の髪をした黒いベストの男が愚痴をこぼす。
 その横で、刀を所持した長髪の男は、じっと外を眺めている。
「あー……俺ひと眠りするわ、着いたら起こせよビーコート」
「了解しました、ドードー殿」

 TO BE CONTINUED...

「剣の王国」作品ページ

船内の様子が細かくて、設定が練られているほどワクワクするものです。続きをぜひ本編で
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