剣の王国まとめ

comicoで連載中の漫画「剣の王国」のまとめです。作品振り返りにどうぞ。

剣の王国「第21篇 女王陛下のお好きなもの」まとめ


 カリバーンに集いし兄弟よ
 部族の気高き魂を 我らが王に捧げよ
 王こそ剣が選んだお方
 永遠の忠誠をいざ誓わん
 そびえる峰々 悠久の歴史
 ああ麗しき我が祖国
 その名は……

 剣の王国、エメラルド城。
 城は現在改装中にあり、エメラルドで出来た壁をカーンと砕く音と、作業にあたる男たちの歌声がこだましていた。
「はあ……エメラルド城はこの色だから美しいのにな。『全てルビーにつけかえろ』なんて無粋極まりない」
 男は、今しがた砕いたエメラルドをマジマジと見つめる。
「仕方ないだろ、赤は女王陛下のお好きな色だからな。仰せのままにするしかない」
 男は、大きなホットドッグを口に運ぶ。
 彼らは休憩中で、一枚の板を上から吊るしただけの簡易リフトに腰掛け昼食を取っている。
 ホットドッグの男が続けた。
「女王陛下か。お目にかかった事なんかもちろん無いが、絶世の美女らしいな」
「この世の男は皆女王の奴隷さ」
 エメラルドを見つめたまま呟く。
「え?」
「強力な愛のSPELLスペルだ。男なら誰でも地面にひれ伏し女王の靴を舐める。だから女王は女にしか殺せない」
「は? 殺すって……お前何言ってんだよ」
「いや、正確には女でも殺せない。かつて幾度となく反乱軍は女王暗殺を企てたが、成功したものはいない。ゴリアテ将軍と戦乙女のエルラン。ギルバート侯爵と夢魔サキュバスのナターシャ。そして旧五部族と三番目の魔女ジルコニア……。皆失敗した。俺はオーグから来たんだ……前に話したろ」
「おい」
 焦りの色をにじませながら話を止めようとするが、止まらない。
 彼はなんだか覇気がないまま続ける。
「故郷は女王の治世になってから荒れ放題だ。先の王は二番目の魔女を妃にするべきだった……」
「おい! お前どうかしてんのか⁉︎ 監督官か親方にでも聞かれたら打ち首だぞ」
「何やってるこのクズ!!!」
 下の作業場が騒がしい。
 作業員の一人が資材につまずいたらしく、兵士を引き連れた青いスーツの男に怒鳴られていた。
「お前がぶちまけたこのルビー、どう責任とる? あ? このルビーは誰のものか分かってるのか? 我らが女王陛下のものだぞ? これは女王陛下に対する冒涜だ。聞いてんのかこいつ!」
 青い革靴が彼を踏みつける。
「お許しください、お許しくださ……」
「おいどうした」
 ホットドックの男が下に降りてきて、仲間に状況をたずねる。
「どうって見ての通りだよ」
「アイツ今度こそヤバイぜ。監督官に目をつけられちまった」
「お役人様、何でも致します。どうかお許しを……」
 彼の首元では槍でクロスが作られ、兵士の足が背中を押さえつける。
「もういい! メリーアンを呼べ! お前らよく見ておけ。ちんたらやってたらこうなるぞ」
「故郷に妻と子供がいます……!」
 涙を浮かべる男の訴えもむなしく、どこからか大きなノコギリをガ……ガ……と引きずった少女が現れる。褐色の身体に葉っぱのようなワンピースをまとい、口元をマスクで隠している。
鋸挽のこぎりびきのメリーアンだ」
「あんな子供が……」
 彼女は、自身の十倍はあるであろう大きさのノコギリをたずさえる。
「なあやばくないか」
 彼女が到着するやいなや、作業員は怯えはじめる。
「ひ……どうかお慈悲を」
 慈悲を乞う男に監督官はしゃがみこみ、
「女王陛下のお好きなものを答えろ。正解すれば今回は見逃してやる」
「赤色……赤色です」
 食らいつくように答えると、監督官は手を上げて合図を出した。
 するとメリーアンはノコギリを構えはじめる。
「どうして」
 そしてズシンと男の首に乗せる。
「うっ」
「不正解だ。正しい答えを胸に刻んで死ね。女王陛下のお好きなものは」
 男が死の淵から見上げ見た光景は、監督官の見下すような表情。
「赤と」
 彼の首にノコギリが食い込み血が吹き出す。
「生首だ」

 ドッと目が覚める。
 アルフレドは包帯の巻かれた身体を起こし、周囲を確認する。
 ここは船の一室だ。

 TO BE CONTINUED...

「剣の王国」作品ページ

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