剣の王国まとめ

comicoで連載中の漫画「剣の王国」のまとめです。作品振り返りにどうぞ。

剣の王国「第18篇 いざさらば」まとめ

 二匹の竜は、シュウウウ……っと音を立てて気絶した。
「すごい……! やっつけちゃった」
 呆気にとられるドロテーアの元に、紙の破片がひらひらと落ちてくる。
「?」
「ふんふん♪ びりびり♪」
 エコーだ。びりびりと紙を破いている。
「あっ契約書!」
「!」
 アルフレドの首筋から、みるみる印が消える。
 ドロテーアは期待感を募らせる。
「もしかして!」
「しるしが消えた!」
 エコーは紙くずをより集めてハートマークを作った。
 突如、地面が揺らぎ始める。
「‼︎?」
「今度は何なの⁉︎ 今の地震⁉︎」
「時間がない! 走るぞ」
 ドロテーアを下ろし、彼らは北へ向かう。
「う……クソガキ……殺してやる…………!」
「竜が……!」
「いいから来い! 船まで止まるな!」
 フギンは息絶え絶えに恨み言を唱える。
「ゼエ……どう殺してやろうか……ゼエ……はらわたえぐり出して……骨ごと……ゼエ……噛み砕いてやろうか……ああ……! どこまでも走るがいいさ……絶対にとっつかまえて、八つ裂きにしてやる‼︎」
 この間にも、大地は揺れ続ける。一体何が起きているのか。島の方々では皆それぞれ危機感を募らせる。
 西の海岸では、ゴンザーロが仲間の元へ駆けつけた。
「おい、お前ら!」
「ゴンザーロだ!」「助けてくれ!」「おいやべえよこの島……! さっき竜が飛んで行くのを見たんだ」
「わかった……わかったから」
 三人目の縄を解きながらなだめる。先に解放した二人は船へと降りはじめている。
「サー・トンプソンは一緒じゃないのか?」
「詳しい話は後でする! さっさと島を出るぞ‼︎」
 ──だから言ったんだ。アトラント伝説を嗅ぎ回るもんじゃねえ! 呪われてる! そもそもこんな島、アトラントなわけがない……
 一方、赤い鳥たちも、この大地の揺らぐ様に気が急く。
「おい、一旦ここを離れよう。やばそうだ」
「でも、パンチさんがいねえよ」
「そんな場合じゃないって!」
 ズズン……。大地の揺れはおさまる気配がない。
 森を走り抜けるアルフレドたちの目の前に、ようやく目標が見えてくる。
「見て! 船よ!」
 ズン。
「きゃっ⁉︎ また地震‼︎ ねえ一体何なの⁉︎」
 ドロテーアの疑問に構う様子もなく、アルフレドは何やらSPELLスペルを発現させる。
 ──光芒の梯子ラダー・グレイプニル
 たちまち船と地面の間に、縄はしごが渡された。
「ていうかそれ持ってきたのかよ、邪魔になるぞ」
「だって置いていけないし……」
「卵貸して、お前はこっち」
 二つのうち、片方のはしごをドロテーアに渡してくる。
「登ったら船体につかまってじっとしてろ、いいな」
「わかったわ」
「さっきは助かった」
「えっ……? あ……うん……」
 表情が見えない横顔がそんな言葉を置いて行く。
 咀嚼そしゃくに時間がかかり、はしごを登る彼をほうけた表情で眺めながら、
「どういたしまして」
 小さい声で返答した。
「エコー! アンカーのつな切ってくれ」
「ガッテンりょうかい
 るるんとはしごを登るドロテーアを尻目に、なんだかせわしない。
「操舵も頼む」
「アイアイサー」
 ふと、ドロテーアが気づく。
 ──あれ……? 忘れてたけど海流を操るSPELLスペルはどうするのかしら
「ん?」
 更には視界の端に何かを見つける。
「おいこの悪党ども! やすやすとここから出られるとでも思ったか⁉︎ そうは問屋とこのパンチネロ様がおろさねえ! そう、この、いつかブーメレンの音楽隊長になる鶏のパンチネロ様がな!」
 パンチネロは、ふぁ、ふぁと息を切らす。
「どいつもこいつもそろって俺様を放置しやがって! もう我慢ならねえ」
 積もり積もった不満があるらしい。
 ドロテーアは彼に反応する。
「いつかブーメレンの音楽隊長になる鶏のパンチさん⁉︎」
 名乗り口上をフルで唱える律儀さ。
「その悪行もそこまでだ! 観念しやがれ! この俺様がまとめてスープにしてやる!」
 べらんめえな口上が決まったところで、ズズンと大地が揺らぎ、彼は崖から落ちてしまった。
「……およ⁉︎ およよっ‼︎?」
 大地は一層揺れを強める。まるで、己の存在を知らしめるかのように。と言うよりこれは……
「‼︎? 島が浮いていく⁉︎」
 ドロテーアは、目の前の状況に青ざめる。
「うそ……そんな」
 島の地面は、みるみるうちに顔を現す。言葉通り、それは大きな瞳を有する「生き物」だった。
「島じゃなかったの……⁉︎ 何なに⁉︎ 何なのアレ……⁉︎」
「ドロテーア危ないよ! 早く登って」
 エコーが急かす。彼女はまだはしごの途中なのだ。
「待って、パンチさんがどこかに……あっ‼︎」
 見ると、パンチネロは岩にこびりついた木の根にぶら下がっている。
 木の根は先に行くにつれ細く、一つの命を支えるには心もとない。ぶちって切れたらそこで終わり。
 彼は何やら呪文のようなものを唱えている。
「俺様泳げない俺様泳げない俺様泳げな……あ」
 あ……切れた。
「ああっ」
 ドロテーアはとっさに彼を追い、はしごから飛び降りた。
「ドロテーア⁉︎」
 エコーが叫ぶ。
「行っちゃダメー‼︎」
 ドボンと水しぶきを上げ、彼女は海に消えた。

 TO BE CONTINUED...

「剣の王国」作品ページ

島を支えるその生き物は⁉︎ 本編でぜひ
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