剣の王国まとめ

comicoで連載中の漫画「剣の王国」のまとめです。作品振り返りにどうぞ。

剣の王国「第17篇 愛の駆け引き」まとめ

「よく見てください、その卵は……あなたたち・・・・・の子どもじゃありません」
「な」
 皆一様に驚く。
「何ーっ⁉︎」
「何が言いたいんだクソガキ⁉︎」
「フギン様とムニン様はシーサーペントドラゴン種。シーサーペント種の卵のサイズは、70〜80センチエーテル
 ※1センチエーテル(ce)=約1センチメートル
 70〜80センチエーテルというと、人間の股下ほどの高さだが、ドロテーアが選んできた卵はおよそ20センチエーテル。手で抱えられる程度だ。
「その卵は小さすぎます」
 ドロテーアは不安に駆られる。
 ──私……もしかして……間違えて連れてきた……⁉︎
 だらだらと汗を垂れ流す横で、フギンが冷静に切り返す。
「何を言いだすかと思えば……、喰われるのが怖くて大騒ぎか? 竜の種類は卵の色で決まるんだ。シーサーペント種は金色。この卵もだ」
「その通りです。金色という事はその卵にはシーサーペント種の遺伝子が確かに入っている。ですが、卵の大きさは同種族で大きく異なったサイズになる事はありません」
 スラスラと説をとくアルフレド

 考えてみて下さい。
 鳥や魚、虫に至るまで全ての卵生動物において同じつがいから産まれた卵にいちじるしい個体差がありますか。
 もっとも新しい学説によれば、卵の個体差は最大で±13%、したがってあなたがたシーサーペント種の卵が70〜80センチエーテルの範囲を越える事はありません。

「もうお気づきかと思いますが、これらを踏まえた上で『卵が金色』という事実が意味するのは……」
 皆一様に目が点。
「アンタまさか……」
「バカ言え、何で俺が、そういうお前こそ怪しい」
 はじまる痴話喧嘩、意味がよくわかっていないドロテーア。
「あんたの元カノ何ていう種類よ」
「ちょっ……ちょっと待て落ち着こう妻よ。だいたい俺たちはいつも一緒に居るじゃないか」
「それもそうね!」
「だろ」
 二匹の喧嘩中、脱出を試みるがそうそう容易くない。
「危ない危ない、クソガキの虚言きょげんに騙されるとこだった……」
 冷静になる二匹。無論、アルフレドは黙っちゃいない。
「いつも一緒でも互いの行動を把握できない時間もありませんか? 寝ている間とかは?」
 悪い顔して疑心を煽る。
 その隙にエコーがキョロキョロと紙を探す。
「契約書契約書……」
「例えば小型の竜のファイヤドレイク種は夜行性ですよ」
 ムニンの心に蘇る疑心感。
「アンタ……本当に浮気してないでしょうね……」
「おいおい本気で俺を疑ってんのか⁉︎」
「焦ってるのが怪しいのよ」
「お前な! いい加減にしろよ! 元カノとは完全に終わってるよ。……たまに近況報告とかするくらいだよ」
「うわ……やっぱり会ってるのね」
「だからそれはちげーよ!」
 順調に喧嘩を繰り広げる二匹。アルフレドは一先ずの状況を作り出せた。
 ──まあ、今言った事ほとんど……デタラメなんだけど
 そして何やら更なる知略を巡らせる。
「この……裏切り者おおおおおおお!!!」
 ムニンの怒号は周囲を圧倒し、ドロテーアの髪がなびく程。
「キャーーーーッ!」
「じゃあ何なのよ、この卵は‼︎? 誰の子よ‼︎?」
「俺たちの子に決まってんだろが」
「嘘つきイイイイイッ!!! どうせ他にも引き取った卵あるんでしょ⁉︎ ええい……こんなもの!!!」
 ムニンはぺーいと卵をはたき飛ばしてしまった。
「ちょっ⁉︎」
 飛んで来る卵に慌てふためくドロテーア。
「ちょっと投げるなんて……きゃあ!」
 慌てつつも見事にキャッチした。
「こうなったら離婚よ離婚! 今すぐ実家に帰らせて頂きますからね!」
「ああ……もう呆れたぜ! 望むところだ」
「ねえ、ちょっと……! 育児放棄なんてひどいじゃない……」
 この最中に育児放棄咎めだすドロテーア。
「どこでも好きなとこへ行けばいい!」
 無論聞こえていない。
「何よその言い方‼︎?」
 カッとなったムニンはフギンの首元に噛み付く。
「ぎゃっ⁉︎」
 するとフギンの尻尾が緩み、ドロテーアの拘束が解かれる。が……。
「⁉︎」
 無論、落下は免れない。
「ちょっと……急に離さないでーーー!」
 落ち行く彼女を、今度はアルフレドが拘束する。
 ──光芒の照照坊主ハンギング・グレイプニル
 逆さ吊りにされるドロテーア。
「ふぁっ⁉︎」
 スカートごと縛るあたりは抜かりない。
「はあ……死ぬかと思った…………⁉︎」
 気づくと、喧嘩中の二匹の周囲にはアルフレドSPELLスペルが張り巡らされている。彼らはまだ気づいていない。今度は紐の強度にも抜かりはなさそう。
 ──紐を編んで太い縄にしてる……⁉︎ いつの間に……⁉︎
 フギンとムニンは互いに血だらけになり、息を切らす。
「ハァハァ……なんて暴力的な嫁だ……ん? この紐……⁉︎ ムニン! ヤバイ!」
「ああん⁉︎」
「もう遅い」
 アルフレドは、張り巡らせた縄をギュッと締め上げる。
「!!!」
 二匹はたちまち収束される。
 ──巨神の紐枷グレートガリバー・グレイプニル

 TO BE CONTINUED...

「剣の王国」作品ページ

二匹の夫婦喧嘩に挟まれるドロテーアを本編んでぜひ
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