剣の王国まとめ

comicoで連載中の漫画「剣の王国」のまとめです。作品振り返りにどうぞ。

剣の王国「第9篇 "ジルコニア"」まとめ

「は〜二人とも大丈夫かな〜」
 エコーは家の外でムシャムシャとリンゴを食べながら、二人を心配する。
 中の状況はおよそ「大丈夫」とは言いがたい。
「……ただじゃおかねえからな〜、このクソ奴隷が!」
 ──奴隷──‼︎?
 アルフレドの手にぎゅっと力がこもる。
 ──そんな……! こんな島にまで身分制度が⁉︎

 剣の王国の身分制度は、王族を頂点に、貴族、上流階級アッパー・クラス中流階級ミドル・クラス下流階級ロワー・クラス、奴隷・被差別部族が存在する。
 貴族は、王族から派生した人々。上流階級アッパー・クラス中流階級ミドル・クラスでは、失脚や昇格で身分が変わることがあり、下流階級ロワー・クラスは労働者全般のことを指す。そして奴隷・被差別部族は王国民とはみなされない。

 ドロテーアはアルフレドの首筋のバーコードに目を止める。
 ──確かに首筋についている印、奴隷が逃亡しないようにかけるSPELLスペルだわ。領主様の奴隷にもついてるのを見たことがある……! これじゃ島から出られないじゃない。
 パンチネロの追求は続く。
「だいたいお前は感謝の心がねえ! いいか? お前なんかあの時・・・……フギン様たちが助けなきゃ今頃! 崖下でぐっちゃぐちゃになって死んでたんだからな! ここに来たときはただのクソチビだったくせに‼︎ 恩を忘れてすくすく元気に育ちやがって!!!」
 なぜか、おいおいと泣き出し、「育ての親」感を出してくる鳥たち。
「そこまであんたに世話になってねーよ」
「ケージアタック第二弾用意ーッ、第二弾用意ーッ、ったく……! こんな口の減らない奴なんか生かして、ジルコニアも馬鹿な女だな」
 アルフレドは彼女の名前に反応する。
 ドロテーアもその名前には聞き覚えがあった。
 ──! 「ジルコニア」ってたしか……「三番目の魔女」
「ありゃ本当無駄死にだね。フギン様に土下座なんかしちゃってよ、あの女! 『もしもの時は弟子アルフレドだけ助けてくれ』なんて言って自分のSPELLスペルを渡さなければ……まだ王国からの追手と闘り合えたのにな! とんだクソ取引だった訳だ!」
 うつむき、奥歯を噛みしめるアルフレド
「えーっと何だっけお前、『三番目の魔女の天才弟子』だっけ?」
 ──あの三番目の魔女の弟子‼︎?
「こりゃ見込み違いもいいとこだ、さすがジルコニア……」
 アルフレドの手に力がこもり、ドロテーアが気付く。
「……出来損ないの三番目だな」
 さらに力がこもる。
 ──痛たたた!
 静かにパンチネロを見据えるアルフレド
「ケッ、涼しい顔しやがって、つまんねえな。もうこのネタ効かねーのかよ。小人族ピグマイオイの事はきっちり報告するからな。フギン様たちが帰られたらお前なんか……クク、スープの具材にしてやる! 楽しみにしてろ!」
 鳥たちが出て行くやいなや、アルフレドの手が離され、リボンが消滅した。
 ──‼︎? リボンが消えちゃった……一回きりのSPELLスペルなのかしら
 アルフレドはエアリエルを持ったまま外を確認し、何やら支度を始める。
「ねえちょっと……! 奴隷って本当なの? どうやって島から出るつもり? それに三番目の魔女ジルコニアの弟子って……」
 ドロテーアの矢継ぎ早な質問を、アルフレドは長いため息で遮ぎる。
 そしてエアリエルの持ち手を突きつけ宣言する。
「おい、勘違いするな。俺とお前はただの取引上の関係だ。答える事なんて何も無い」
「……!」
「作戦の詳細は後だ。さっさと出発するぞ。フギンとムニンが帰ってくる前に」
 アルフレドは、片方の靴を脱いだかと思うと、緑色のマントと一緒に、それらをドロテーアに投げてよこした。
外套ケープだ。裏返して頭から被れ。姿勢を低くしてついて来い」
くつ⁇」
 アルフレドSPELLスペルでハシゴを作り、降りる準備をしはじめる。
「あ……あの〜この靴は……?」
 意図を理解していないドロテーア。アルフレドは、無愛想な表情で振り返る。
「履けば」
「……へ?」
 意図を理解すると、すべからく慌て出す。
「えっとあのでも、あなたの靴が……」
「とろとろすんな。三十秒以内に降りてこなかったら吊るす」
 そう言って、片方の素足を晒しながら彼は歩き出す。
「……!」
 答える事なんて何も無い。そう突き放してきた彼がとったその行動は、ジルコニアという人物の人柄を裏付け、おおよそ彼の「人となり」を表す。
 それはやがて少女の琴線に触れ、せきを切ったかのように輝きをまといはじめる。
 ドロテーアはブーツに足を入れると、少しため息をつく。
 そしてブーツのかかとをコツンとけって、「ちょっと大きい」と呟いた。

 TO BE CONTINUED...

「剣の王国」作品ページ

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