剣の王国まとめ

comicoで連載中の漫画「剣の王国」のまとめです。作品振り返りにどうぞ。

剣の王国「第3篇 早くしないと」まとめ

 島のゴツゴツとした岩に、波が打ち返す。波に削られ入り組んだ岩場で、今二人の親子が旅立とうとしていた。
「いい腕前だ、アルフレド。素晴らしい船だな。これで国に帰れるぞ。この島に漂着した時はどうなるかと思ったよ」
 二人の親子の前には、アルフレドが作ったらしい船がお披露目されていた。
「海流にSPELLスペルがかけられていたんだ……──。島に船を引き寄せるように。まさかアレはお前が?」
「いいや……俺じゃない」
 アルフレドは模型でも作るかのように、船のマストを甲板に差し込み、船を完成させた。船のサイズは片腕で抱えられる程度で、親子のサイズもまた手のひらに乗せられる程度だ。
 小さな親子は岩場にちょこんと立ち、巨人サイズのアルフレドを見上げていた。
「そうか。それはそうだな、恩人に失礼だった、すまない。取引通り、貸してある『グレイプニル』はお前のものだ。良いSPELLスペルだぞ、好きに使ってくれ」
 気のいい笑顔で父親が話す。しかしそのかたわらで、不満げに黙り込む息子。しかし意を決して口を開いた。
「ねえアルフレド、本当に僕らと一緒に来ないの」
「あー……乗れないしな」
 気まずそうに答える。
 アルフレドは二人を乗せた船体を海の方へ向ける。
「ありがとう……また何処かで」
 そして送り出した。
「……こら、泣くんじゃない、アルフレドはここから出られんのだ。フギンとムニンに奴隷にされているからな。島を守らねばならん」
「でもアルフレドは食べられちゃうんだよ」
 泣きじゃくりながら訴える息子。
「……は?」
「フギンとムニンの手下が言ってたんだ。そろそろデカくなったから、スープにしようって……、ちゃんと島を守っても食べられちゃうんだよ!」

 その頃ドロテーアは……。
 ──私の服が動いてしゃべってる……⁉︎
「ハイコレ、内ポケットに入ってたわよ」
 ぴらっとバースデーカードが返却される。
「ベルトも返すわ、ちょっぴりキツイから」
 ポイっと剣差し用のベルトが戻ってきた。
 確かに何だかこの服は丸々としている。服がしゃべっているというよりは、透明な何かがドロテーアの服を着ているという方がしっくりくる。
 ──……待って、この反響音もしかして、「やまびこの妖精ニンフ……?
「この服けっこう気に入ったわ。貰ってもよくて?」
「も……申し訳ないけどその服はあげられないの、大事なもので」
「そんなの知らないもん」
 ──「やまびこは妖精ニンフの仕業」って良く言うけど……初めて見た。サイズが想像とはちょっと違うけど。
「……それじゃあ一緒に鬼ゴッコしてくれるなら返してもいいよ」
「鬼ごっこ……⁉︎」
「ほらほら早くしないとアルフレドが帰ってきちゃうよ」
アルフレドってまさか」
 自分たちを捕まえた赤い髪の少年が脳裏に浮かぶ。
「返して!!!」
 飛びかかるように捕獲するが、ひらりとかわされる。
「あはは、ドロテーア急いで! お洋服着れないよ〜〜〜〜〜〜〜」

 ──光芒の尾紐グレイプニル
 その頃アルフレドは、小人の親子から譲り受けたSPELLスペルを駆使し、森の中を飛んでいた。枝から枝へと紐を巻き付け、刻一刻と家に近づく。目前にはすでに家の姿が……。

 家の中では未だに下着姿のドロテーアが自分のドレスに振り回されていた。
「ドロテーアの髪はつやつやキューティクルでいいわね」
 ふわっと髪の毛が持ち上がる。
「髪が勝手に……‼︎」
「ちゃんとしまっとかないと……髪切り男爵に切られちゃうぞ!」
 ドロテーアは髪をマフラーのようにぐるぐる巻きにされ、頭には本が落ちてきた。
「むぎゅ!」
「……あーあ、飽きちゃった。ドロテーア、トロくてつまんない」
 やまびこはふよふよとドアの方へ向かう。
「ま、待ちなさい……、外へは行かさないわよ!」
「きゃう⁉︎」
 間一髪ドアの前で押さえ込んだ。
「やった! つかまえ」
 しかしそこへ帰って来たるは赤い髪の少年。
「た──⁉︎」
「‼︎⁉︎」
 鉢合わせる二人、氷結する裸体、凝結ぎょうけつする視線。
 勢いは止まらず、彼女は彼を押し倒していた。

 TO BE CONTINUED...

「剣の王国」作品ページ

出会っちゃいましたね。
剣の王国(つるぎのおうこく) | yoruhashi - comico(コミコ) マンガ