剣の王国まとめ

comicoで掲載されている漫画「剣の王国」のまとめです。作品振り返りにどうぞ。

剣の王国 第2篇「そうすればエメラルドに」まとめ


「ん……」
 目がさめるとドロテーアは下着姿で吊るされていた。
「?」
 視界には自分の足元が映る。銀の靴は脱がされていない。木靴は確か脱げてしまった。拾ってもらえるとも思えないが。
 彼女を吊るしている天井のはりがギィィと音を出した。
「……⁉︎」ちゅうぶらりん!
 彼女は部屋の中央に、それこそ糸にぶら下がる蜘蛛のように吊るされている。「な、え……?」青ざめながらキョロキョロと部屋を見渡す。
 人の気配は無く、隅の方にドロテーアの剣が立てかけられている。こっちは拾ってもらえたのか。壁一面にはぎっしりと本が詰まっていて、部屋にも積み本ブロックがいくつもある。書類や、何かの草花も散らかっている。
「ここは一体どこ……⁉︎」
 ドロテーアは突然「出なきゃ」と言いながらもがき始める。
「とにかく、此処ここから……」一心不乱に動くたびに天井もギィギィ音を立てる。
「あと五ミリ……ッ」壁を蹴ろうとしているのか。
「『竜巻のステップ』……う!」うめき声のような声を上げる。
 どうやら蹴りが成功したらしく、彼女の剣が浮き上がったかと思うと、勢いよく本棚の前を横切った。部屋中にも風が蔓延し、本や書類が舞い上がっている。これが彼女のSPELLスペルのようだ。
「こっちよ、エアリエル!」そう呼び寄せると、「エアリエル」と名付けられた剣が勢いよく飛びだし、「きゃ」彼女を吊るしている縄を貫いた。
「……やった」喜ぶのもつかの間、「……ひゃあ」当然ながら床にドサっと身体を打ち付ける。
「いたた……」体勢を起こすと、ヒラヒラと書類が顔に被さってきたので、広げて読み上げた。
「……ヒヨス3グラオン、マンドレイク8グラオン、アヘン7グラオン……毒草ばっかじゃない、変なレシピ」ぽいっと手放す。
 改めて部屋を見回す。「本だらけだし、何だかまるで……魔女の家みたい」
 窓辺には、液体漬けにされたリンゴが置かれている。「毒でも入ってたりして」
 しばらく窓の外を眺める。「……船に戻らなきゃ、ひとばん、ふたばん我慢するだけよ。そうすれば首都エメラルドに、そうすれば……そうすれば…………」
 窓から顔を出すとそこは木の上だった。森の中の木の上に建てられた家。木と木の間を、風が通り抜けて行く。彼女の長い髪を連れ去るかのようになびかせて行く。
 ふと長い沈黙をしたドロテーアは、しゃがみ込み、靴を履いていない左足を掴む。
「ふ………………っ」
 痛むのだろうか、随分と顔を歪めている。
「ふぅう……っ」
 ぽろぽろと涙を流す。押し殺すように。
「……ぐっ……外に……外に出なきゃ、外に…………」
 しばらく泣いていたドロテーアは、ふと自分の恰好に気付く。
「――‼︎⁉︎」
 そう、彼女は下着姿。
「わ、私、いつからこんな恰好……」
 するとどこからか声が聞こえてくる。

『ド』ド、ド

『ロ』ロ、ロ

『テーア』テーア、テーア

 えらく反響している。
「‼︎‼︎」
 信じがたい光景にドロテーアは絶句する。

『17歳のお誕生日おめでとう』

 反響音を伴ったその声の主はヒラヒラと浮かぶドレスで、そのドレスが誕生日カードを読み上げているのだ。
 何を言っているのかわからないと思うが、とにかく今までドロテーアが着ていた薄紫のドレスがふわふわと浮かび出して、彼女に話しかけているのだ。

『ふーん、あなたドロテーアっていうの?』

 TO BE CONTINUED...

「剣の王国」作品ページ

序篇と第1篇は一度リメイクされている関係で、この作品における最初期の作画はこの第2篇ということになります。続きはぜひ本編で。
剣の王国(つるぎのおうこく) | yoruhashi - comico(コミコ) マンガ