剣の王国まとめ

comicoで連載中の漫画「剣の王国」のまとめです。作品振り返りにどうぞ。

剣の王国「序篇」まとめ

むかしむかし
つるぎの王国と呼ばれたところに
3人の魔女がいました

1ばんめの魔女は
この世で最も美しかったので
王さまに見初められ
お妃さまになりました

2ばんめの魔女は
この世で最も賢かったので
万病を鎮める秘薬をつくり
ひとびとに与えました

3ばんめの魔女は
美においても智においても
2人の魔女にはおよびませんでしたが

ひとりだけ
たいそう優秀な弟子をとりました。

 三番目の魔女ジルコニアとその弟子であるアルフレドは、王国の兵士に追われていた。
 一番目の魔女、すなわち女王陛下によって、ジルコニアの首をはねろという命が下されていたからだ。
 森の地面は走りやすいとは言いがたく、アルフレドは草につまずき派手に転んでしまう。そこへ兵士の影が──今アルフレドが頭を上げたら見つかってしまう。ジルコニアはとっさに低い体勢で地面を滑り降り、アルフレドの頭を下げさせる。勢い余って地面にぶつけてしまったが。
 物音に気付いた兵士の足音が近づき、そして去っていった。
 鼻血を出しながらジルコニアをにらむアルフレド。そういう顔やめてよ、ごめんてば。
 ジルコニアは首から下げていた笛を外しだす。
アルフレド……『約束』の事もちろん覚えてるわよね? これ渡しとくわ」
「でもそれは最後の最後にって……うぇ」
 アルフレドの首に笛をかけさせ、鼻をつまんで口答えを封じる。
「いい? 失くさないでよ?」
「よくない! 全然話が違う……」
 突如地面がズレ始める。
SPELLスペルだ」
 地面は緑色の光を放ち、二人がいるところを中心に割れ始める。まるで空洞でもできたかのように岩が崩れはじめ、二人は落下。
 ジルコニアは何とかアルフレドの手を掴む。ちょうど真下には、岩から垂直に生えた一本の太い木が見える。ジルコニアは歯を食いしばり、木の幹に体当たりした。
「う」
 ジルコニアは木に支えられたが、アルフレドは宙吊りだ。この手を離せば彼は落ちてしまう。
ジルコニア
「大丈夫だから……手、離さないで」
 ふいに、木の生え際の岩が青く光り出し、中から鼻歌が聞こえてきた。そしてその青い岩がまるでドアのように開き、中からは茶色い巻き髪の男が出てきた。男は金の懐中時計をはべらせ近づいてくる。
「よう、見つかっちゃったな三番目の魔女ジルコニア
 男はジルコニアの後ろの髪を引っ張る。
「悪いが俺はお前らを殺さなきゃならない。女王陛下のご命令だ」
 男はピストルに弾を装填しはじめる。
「撃つな!!!」
 アルフレドが叫ぶ。
「撃ったら殺してやる!」
 男はアルフレドを見下ろす。
「いいぞ少年、かまいやしない」
 男が白いハットを脱ぎ去ると、頭部からは白く長い耳が露わになった。
「俺は『白兎のジョーカー』。覚えたか? 殺しに来い」
「ごめんアルフレド……」
 ジルコニアの頭部めがけて男がピストルを構える。
「……化けてでもな」
「やめろよ」
「約束忘れないで」
 彼女は、寂しさでいっぱいの笑顔で伝える。
『あいしてる』
 そしてその手は離され、アルフレドは再び落下しはじめる。
「ジルコニ」
 彼女は首をはねられた。
「ジル! ジルコニア……ッ、嫌だ、嫌だああああああああ!!!」
 深い深い谷の底へ、落ちていった。


 はじまり、はじまり。

「剣の王国」作品ページ

ジルコニアの最後の表情を是非本編で
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